MIMESISトークイベント&プレイレビュー!AIがもたらす新たなゲームの面白さ
アルテマ攻略班

MIMESIS開発のReLU GamesとKRAFTON主催のメディア向けトークイベント及びMIMESISのゲームレビューを記載しています。
2026年8月5日、都内でMIIMSIS開発を手掛けたReLU GamesとパブリッシャーのKRAFTON, Incが主催するメディア向けのトークイベントが開催された。イベントでは、ReLU Gamesの成り立ちからMIMESIS開発の裏話まで非常に興味深い話を聞くことができた。
当記事では、イベントの様子をお伝えすると共に、MIMESISの実際のプレイを通してAIがどう活用されているかをお届けしていく。
MIMESISってどんなゲーム?

MIMESISは、2025年10月からSteam向けにアーリーアクセスが開始されているCoop型のホラーアクションだ。2人~4人でチームを組んだプレイヤー達は、ガスマスクを付けて汚染が進む地域を探索し、モンスターが蔓延るエリアからどうにか物資を持ち返って資金に換える……というのが大まかな流れ。
MIMESIS最大の特徴は、モンスターの中にプレイヤーの模倣をするAIが紛れ込んでいることだ。ゲームのタイトルにもなっているこの「ミメシス」というモンスターは、プレイヤーがボイスチャットで喋った内容と声を模倣し、人間であるプレイヤーに近づいてきてしばらく話していると突然襲いかかってくるという恐ろしい存在であると共に、ミメシスがもたらす疑心暗鬼は本作に「コメディ」の要素も加えている。
日本では主にYouTubeの配信から火が着き、今もなお人気が拡大している注目作だ。
AIが生み出す疑心暗鬼と笑い
拡大するスタート地点で信頼できる仲間達だが……
拡大する探索中は仲間との合流が疑心暗鬼のシチュエーションに
ミメシスはプレイヤーをすぐに攻撃するわけではない。接敵してしばらくはプレイヤーの声を模倣しながら、絶妙に人間かAIが判断しにくい動きをしながら、突然襲いかかってくる。
そこにはボイスチャットコミュニケーション故の不完全さがAIの味方をしており、「合言葉を言え!」と言っても実際の人間が必ずしも聞き取れるとは限らないからだ。
「合言葉を言え!……おい聞こえないのか?合言葉を……」と問答している間に襲われてしまうといったこともしばしば。かと言ってこちらがすぐに攻撃してそれが味方だったら目も当てられない。
AIは合言葉も学習してしまうため、定期的に合言葉を変えて対応することも求められる。しかし、人間が必ずしも合言葉を毎回覚えているわけでもないし、合言葉の変更をうっかり聞き逃していれば「お前AIだろ!」と味方に処されることになるのだ。
こういった人間の不完全さと模倣するAIという存在が相まって疑心暗鬼が生まれ、その疑心暗鬼によるやり取りと混乱が本作ならではの「笑い」を作り出している。
AIに憑依して味方とコミュニケーションをとれる
善戦虚しく死亡した後は、他プレイヤーの視点で観戦することができる。観戦中はただ眺めているだけなく、他プレイヤーの視覚内にいるミメシスにプレイヤーが憑依して一時的にボイスチャットで話すことができる。
「今憑依してる!こいつは偽物だ!」「もう拠点に戻ったほうが良い!」といった重要な情報を味方に伝えられるが、ミメシスの学習が進んでいくとその言葉すら本当なのかもわからなくなってくる。
また、観戦中は味方同士が合流した際に互いをAIかどうか疑っている様子もバッチリ観察できるため、神様視点で本作のコメディ感を堪能できるようになっている。
AIが拠点にまで入り込んでくる恐怖
拡大する爆弾を抱えて侵入してくるミメシス。この後全員爆死した
本作は拠点となる電車に資源を持ち込んで換金していくことがゲームの目的となるが、ミメシスは人間のフリをしてこの拠点にも平気で入り込んでくる。
物資を集めてそろそろ出発しようとしていたら、ふと味方(と思っていたAI)の1人が電車の外に出て、再度現れた時には爆弾を抱えており、自爆して全員死亡!という終わり方をした時は、思わず声を出して笑ってしまった。
実は人間の会話も意外と成立していない……!?
MIMESISをプレイする中で感じたのは、そもそも人間同士の会話も実はしっかり成立していないケースが結構あるということだ。
人間を模倣したミメシスとの会話は、大体がうまく成立しない。成立することもあるが、大体は問いかけに対する答えが噛み合わない。……が、かと言ってそれがAI打破の決定打になるわけでもなく、「疑い」の域をでないのだ。
逆に人間同士でも問答がちぐはぐで「こいつAIだろ」と思っていたら生身の人間だったというケースもあり、実は人間同士の会話がちゃんと成立しているわけではないと浮き彫りにされる点も、本作の持つ奇妙の魅力のひとつでもある。
イベントレポート
週に3~4本のプロトタイプが生まれるスタジオ
トークイベントのPart1では、ReLU Gamesの独特な開発体制について紹介された。
AIゲームデザインという新たな分野に挑戦しているReLU Gamesでは、ローカル環境で作成したゲームのプロトタイプをNolanと呼ばれる社内ツールにアップロードすることで、社内の他の人がすぐにプレイ・編集を行えるという。これによって、デバッグをしてもらいつつプレイの感想を入手・共有でき、ブラッシュアップしているという仕組みだ。
興味深いのが、従来の企画書からスタートするという開発体制ではなく、プロトタイプを共有→プレイレポートまでを含めた「Seed」を経て、予算をを投じた本格的な開発に入るという手法だ。デバッグや細かな調整だけでなく「これそもそも何が面白いんだっけ……?」というクリエイティブの現場ではしばしば起きるコンセプトの再定義までSeed段階で行うため、見直しによる開発の大幅な遅延が発生しにくく、当たりの確率も高められるというわけだ。
また、ReLU Gamesでは「MAGI」と呼ばれる3人格を持つ社内AIエージェントによって、企画のレビューも行っているという。元ネタはもちろん新世紀エヴァンゲリオンの「MAGI」から来ている。アニメで登場したシステムが今は実際にゲーム開発の現場では既に活用されているのだから、驚きである。

小話として、オフィスワークではあるあるの「エアコンの温度争奪戦」も、ReLU Gamesではちょっとしたゲームになっており、そのゲームに勝った側がエアコンの温度を決められるというユニークな環境であることも紹介された。
MIMESIS開発の裏話
トークイベントのPart2では、MIMESIS開発者のアン・ジェホン氏が登壇し、開発の裏話を聞くことができた。
実は開発中断されていた?MIIMESISプロトタイプ
拡大するMIMESISの元になった初期案。これはこれでプレイしてみたい気もするが……
拡大する面白くはなかったらしい。あまりにも率直な社内レビューである
MIMESISの企画は、当初はプレイヤーの戦闘を模倣する敵と戦うアクションゲームとしてスタートしていたとのこと。この試みは新しくはあったが、一方で面白いかどうかと言えば別であった。というのも、アクションゲームとしての面白さを追求していくならプレイヤーを模倣する対AIである必要性はなく、しっかりデザインされた敵と戦う既存のタイトルに劣る可能性が高かったのだ。そのため、一旦このアイディアは破棄され、次に注目したのは「ホラーCoopの持つコメディ」だったという。
「戦闘を模倣する」のではなく、「仲間を模倣する」という発想の切り替えが、現在のMIMESISへと繋がっていく。
合理性のある多様性の反映がAIを人間に近づけた
MIMESIS開発段階では、音声の生成も検討されていたとのこと。当時は現在のような本格的な生成AIがまだ世に出ていなかったため、技術的には大きな挑戦であり、その価値もあったが、「仲間の声を模倣する」というほうがゲームとして面白かったため、現在の形に行き着いたという。
初期のミメシスは動きの不自然さからすぐにAIとバレてしまい、狙いとしている疑心暗鬼が生むコメディがなかなか発生しなかった。そこで、人間(が操作するキャラクター)の動きを改めて分析し、他プレイヤーとの距離感、視線の向き等をパラメータとして設定することで、人間らしい「疑えるAI」の実現が成功したのである。
キーワードとなったのは「合理性のある多様性」。同一のシチュエーションにおいても、合理的でありながら個性が出るのが人間だ。例えば、敵と遭遇した際に「すぐ攻撃する」「逃げる」「様子を見る」等、人によって選ぶ行動は異なる。そういったシチュエーションに合った個性を反映させていくことで、ミメシスは人間に近づいていったのだという。
トークセッション:質疑応答

イベントの最後は、開発者との質疑応答形式でトークセッションが行われた。以下ではその主な内容を紹介する。
Q.日本でのヒットは想定していたか?
A.想定外だった。ホロライブさん等の配信からヒットして、もちろん開発チームもその配信や切り抜きを見て楽しんでいる。日本のプレイヤーはリアクションが面白く、切り抜き文化の活発さを感じた。攻略以上にゲームの過程を楽しんでくれているのが印象的。
Q.没にした企画の中で印象に残ったものは?
A.色々あるが、最終的には「AIを付け加えただけ」のものは没にしている。AIが新たな面白さをもたらしているかが重要。
Q.AIでゲームを作るにあたって難しかったことは?
A.意外かもしれないが簡単な行動が難しい。「壁を見てじっとしている」という人間的なものから「ドアをドアとして認識する」といった基本的な部分にも苦労した。
Q.ユーザー層の地域や年齢は?
A.最も多いのは日本で、次に欧州、アメリカ。10-30代の男性が多い。
Q.今のヒットは予想していたか?
A.想定していなかった。アーリー開始直後はそれほどプレイヤーが多くなかったが、配信から爆発的に増えた。
Q.MIMESISの今後の展望は?
A.Coopにおける味方への不信感が生む面白さをさらに追求したい。モンスター、マップ、アイテムの種類がまだ足りていないので増やしていきたい。PS5やSwitchでのリリースはもっと完成度を高めてから検討したい。1年先までの計画はあるが、必ずしもその通りに動くのではなく、ユーザーの声をキャッチしながら臨機応変に対応していきたい。
Q.新作の予定は?
A.詳しくは言えないが今年中に1本出したい。将来的には全能のAIがプレイヤーを導くようなゲームにも挑戦したい。
Q.日本の市場、ユーザーへのメッセージ
A.日本でのここまでの反響は想定外だったので、日本市場について開発陣もまだ勉強中。このイベント自体、勉強の一貫としてやっている部分もある。CEDECでの受賞はとても嬉しかった。ここまでのヒットにしてくれた日本のユーザーにはこの場を借りてお礼を言いたい。
効率化ではなく面白さを付与するためのAI
AIと言えば、効率化や既存コンテンツを模倣した大量生産に焦点を当てられがちだが、今回のイベントを通して語られていたのは、「新しい面白さをAIによって付与する」ということだ。
既存のジャンルにただAIを付け加えるだけでなく、登場させるAIが面白さを生んでいるかどうかを最重要としているReLU Gamesの姿勢はとても印象的だった。いちゲーマーとして、ReLU Gamesには今後もAI×ゲームの新たな可能性を切り拓いていくことを大いに期待したい。
MIMESISは現在もアーリーアクセス期間中なので、興味を持った方はぜひプレイしてみよう。
また、アルテマではリツイートキャンペーンでMIMESISをプレイ可能なSteamキーのほか、MIMESISグッズのプレゼントも行っているので、ぜひそちらもチェックして頂きたい。






































