Ghost of Yōtei(ゴーストオブヨーテイ)感想・プレイレビュー
アルテマ攻略班

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Ghost of Yōtei(ゴーストオブヨーテイ)のプレイレビューを掲載しています。システム、シナリオ、グラフィック等について記載。
アルテマレビュー班の評価
※直接的なネタバレは避けていますが、「物語の傾向」という形で全体のシナリオに触れたレビューを記載している点に注意してください。
| 総合評価 | ||
|---|---|---|
| 82 / 100点 | ||
| ストーリー | アクション | グラフィック |
| ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
| 操作性 | 音楽 | UI |
| ★★★★★ | ★★★★★ | ★★★★★ |
ゴーストオブヨーテイ(以下ヨーテイ)は、PS5向けに発売されている「日本の時代劇」をベースにした世界観のオープンワールドアクションゲームだ。
前作ゴーストオブツシマ(以下ツシマ)に続くゴーストオブシリーズの2作目にあたる本作は、ベースとなるシステムを前作から継承しつつ、主に探索・戦闘の部分で前作から進歩しており、シリーズそのものの品質の高さと存在感を示すことに成功した快作となった。
物語部分では前作ほどのインパクトを残せてはいないが、十分鑑賞に値するクオリティで、前作のファンであってもそうでもなくても、PS5を所持しているならプレイしておくべきタイトルの1つであると言える。
ゲームシステム
探索のサポートが前作からさらに充実
拡大する地図を売ってくれる伊三郎。何かと愚痴っぽい
拡大するスポットで風景画を描く仕掛けも
拡大する狐を追うギミックも続投。かわいい
拡大する様々な三味線の曲がプレイヤーを誘導してくれる
前作ツシマに引き続き、馬に乗ってフィールドを探索しながら、日本的な要素を盛り込んだギミックに触れながらキャラクターを強化していくというシステムを採用している。
ツシマで好評だった「風によるガイド」は本作でも継承されており、それに加えて「三味線を弾くことで未発見の探索ポイントに向かって風が吹く」という誘導システムも登場した。他にも、地図の購入やNPCとの会話の中で探索ポイントが事前にわかるようになっており、フィールドを闇雲に駆け回るのではなく事前に情報を得られるユーザーフレンドリーなバランスに仕上がっている。
師匠を見つけて新たな武器種を習得
前作での「型」にあたるシステムは、武器種の切り替えという形に進化しており、各地を巡って達人に弟子入りして新たな武器を使えるようになる……という大きなフローに昇華されている。
師匠となるキャラはいずれも個性的で、武器種の習得が戦闘だけでなくサブストーリーも広げていく仕組みだ。
長くなったアスレチック
拡大する前作同様のアクロバティックな参拝
アスレチックは全体的に前作より長めだが、順路に従って進むだけなので、ゲーム体験としては特別楽しいものではない。
誰でも簡単にクリア可能という点はポジティブでもあるしネガティブにもなるという典型だった。中盤からはアスレチックの作業感が出てくるが、サクサク進む上に報酬での自キャラ強化もどんどん進むため、さほど苦にならなかった。
武器切り替え系の適度に難しい戦闘
拡大する5種のメイン武器に加えて弓や種子島、苦無等の豊富な攻め手
本作の戦闘は、刀を基本にしつつ、盾持ちには鎖鎌、大型の敵には大太刀……といった形で、敵との相性によって武器種を切り替えるシステムを採用している。
二刀流や鎖鎌といった、宮本武蔵好きにはたまらない要素も。さらにサブシナリオでは宮本武蔵本人も登場し、小ネタ満載な上に実際に戦える(鬼のように強い!)・
難易度は適度な難しさ
戦闘難易度は程よい辛さで、油断して雑な立ち回りをするとすぐに死ぬが、冷静にしっかり対処すれば勝てるバランスだ。慣れてくれば、さほど難しくない操作で達人感を味わえる。
ただ、敵のAIが頻繁に後退するので、追いかける展開になりがちな点は体験としてあまり良くなかった。
SEKIRO的な方向性に変化
戦闘においてジャストガードが非常に重要かつ強力なカウンター要素となっており、SEKIROの弾きに似たプレイ感に変化している。と言っても、SEKIROほど難易度が高いわけではなく、あくまでもエッセンスとしてSEKIRO的なチャンバラが戦闘に組み込まれているという塩梅(ただし、前述した宮本武蔵はSEKIROレベルの高難易度)。
中盤以降は弾き以外にも敵を崩す手段が増えていくため、プレイヤーによって戦闘スタイルが異なっていくゲームに仕上がっている。
遠景が美しく近景は粗めなグラフィック
本作のグラフィックは、遠景、特に山頂から眺めが素晴らしい出来だった。
一方で近~中距離の描写は現行世代のAAAタイトルとしては平凡。人物のモデリングも前作から大きく進化した印象は受けない。前作同様に、ポリゴン数よりもライティングと色彩設計、草木等のオブジェクトの多さで攻めるグラフィック思想だと言える。
高品質なグラフィックに対し、ローディングは相変わらず爆速!
復讐の旅を描いたシナリオ
本作は、6人の仇敵を討つ復讐の旅を描いている。
本舞台となるのは、江戸時代の蝦夷地(北海道)。鍛冶屋の娘である主人公「篤」は、ある日、蝦夷地の支配を目論む羊蹄六人衆によって家族と生家を焼かれてしまう。本土に逃げ延びて成長した篤は蝦夷地に戻り、「怨霊」となって羊蹄六人衆への復讐の旅を始める――というのが本作のプロローグ。
怨霊というのはあくまで異名のようなもので、実際に主人公が超常的な存在になるということではない。そこは前作の「冥人」と同じような設定だ。
敵の描写は濃く味方側は薄味
NPCの多くはご当地キャラorショップ要員なので、前作に比べて薄味。
一方で、前作ではラスボス以外がほぼモブだった敵側のキャラクター達は、個性を持って濃密に描かれている。
高品質だが前作ほどのインパクトは無い
本作のシナリオは仇討ちの旅というテーマを正面から描いているが、全体的に展開が素直過ぎて想像を超えてこない。
前作で描かれた「侍としての理想を捨ててでも現実の危機に立ち向かっていく」という境井仁の濃密なドラマに比べると、どうしても魅力に欠ける。
前作の石川先生や政子のような強烈なキャラクターも不在だ。
復讐劇として決してクオリティが低いわけではなく、一つ一つの描写はしっかりしている。描くべきことをしっかり描ききっていて、逆に描きすぎてクドくなるといったこともない。一つの物語として十分なクオリティを備えてはいるが、前作との相対評価ではどうしても劣るというのが正直なところ。
前作プレイは必須ではないがファンサービスあり
ヨーテイのシナリオをするにあたって、前作のプレイは必須ではない。単なるストーリーラインの理解という点だけでなく、人物の感情を把握する上でも、前作要素は全く介入してこない。
前作のプレイが体験に影響するのはサブシナリオで、それも前作主人公のその後の人生について軽く触れる程度だ。メインシナリオの理解には一切影響しない。
ただし、その「軽く触れる程度」でしかないサブシナリオの、多くを語らない静の演出が非常に秀逸。短く静かなシークエンスで強烈な印象をプレイヤーに与え、前作プレイ済の筆者は、しばし余韻に呑まれてプレイの手がが止まってしまったほどだった。
サブシナリオは前作よりも充実
サブシナリオに関しては、量と質の両面で前作を上回っていた。個性的な師匠達との掛け合いはどれも小気味よく、癖の強い賞金首達とのエピソードは短いながらも退屈させない出来だった
メインシナリオのキャラクターが前作に比べて薄味ではあったが、サブシナリオにはインパクトのあるキャラが数多く登場する。
アイヌ描写は当たり障りのない程度
本作は蝦夷地が舞台ということもあって、アイヌの人々も数多く登場する。
本筋には絡まず、善良な交易商人であったりサブシナリオで生活と文化的な側面を描く程度に留まっており、政治的にセンシティブな部分までは踏み込んでこない。
ポリコレ感は無い
強い女性主人公ということで、発売前はポリコレ配慮の気配を危惧する声もあったが、筆者個人としてはポリコレ的な印象は受けなかった。
「女侍の物語」以上の何か現実の思想をチラつかせるような描写は一切無く、素直に物語として見れた。
総評:IPとしての格を示した佳作続編

戦闘、ゲームシステムやフィールドでの遊びは前作から着実に進歩している。中盤以降の作業感という前作の課題は、「苦にならない作業」という形で、大きなマイナスにならない程度には改善されている。
シナリオとキャラクターは破綻もなく丁寧に描かれていて、高品質ではあるが、ネットミームになるほどの名シーン・名台詞を生み出した前作と比較してしまうとパワーダウン感は否めない。
それでも、ゴーストオブシリーズのIPとしての格を確立させるには十分な出来で、大成功を収めた前作の魂はしっかり受け継がれ、昇華されている。3作目でのさらなる飛躍にも期待したい。






































