【2020令和版】eスポーツの市場規模と将来性
アルテマ攻略班
目次
eスポーツは2018年以降から非常にポジティブな波を迎えていましたが、TVなどマスメディアで様々なe-Sportsシーンが取り上げられ続け、さらに認知度を拡大させています。
直近では、サントリーホールディングスとesports大会「ウェルプレイドリーグ」スポンサー契約や、NTT東日本による本格参入、さらに大阪を中心としたesports施設が話題になっています。
この機会に、eスポーツってそもそも何なのか、世界でどうなってるのか、ものすごい長文ですが考察したいと思います。
eスポーツって何
eスポーツ(e-sports) はElectronic sportsの略称であり、電子上で行われる競技すべてを指します。PC上のゲームや家庭用コンシューマゲーム、もちろんスマホモバイルアプリゲームなどゲームで競技できるものは全てが当てはまります。
海外では数億単位の賞金が出される大会が開催されていて、国内でも2017年から各ゲームでプロリーグが運営されはじめるなど、大きく動向が注目されています。
- eスポーツの起源
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日本国内の全国規模で開催されたイベントは、1974年の「セガTVゲーム機全国コンテスト」です。※諸説あり
予選は全国のゲームセンターで行われ、ホテルパシフィック東京にて決勝戦を行いました。SEGA様偉大!
オリンピックにeスポーツが採用される?
そもそも2017年ころから急激にeスポーツがメディアで騒がれ始めたのは、「オリンピックに採用」というパワーワードの影響が大きいように思います。
ただ、噂がうわさをよび、異なる解釈をされはじめているので、そこんとこ正しく理解しましょう。
みんなの知ってるオリンピックじゃないよ
「オリンピックに採用」は実は正しい表現ではなく、「アジアオリンピック評議会に認められた」が正しい表現です。
アジアオリンピック評議会は、オリンピックを主導する団体のIOC(国際オリンピック委員会)とは別存在であり、オリンピックに直接承認採用されると決まった訳ではありません。
もちろん、ポジティブなニュースであることは間違いなく、オリンピックにeスポーツが採用される確実な一歩です。
アジアオリンピック評議会って何?
アジアオリンピック評議会は、アジア圏内で国際大会を主導する団体です。
eスポーツは、4年に1度開催されるアジアの国々のための総合競技大会「アジア競技大会」に採用され、2022年に中国の杭州で開催される「第19回アジア競技大会杭州」にて正式なメダル種目となることが決定済みです。
さらに、2018年8月18日には、インドネシアで開催される「第18回アジア競技大会ジャカルタ・パレンバン」にて、デモンストレーション競技としてeスポーツが実施されます。
eスポーツ競技種目inジャカルタ
ウイニングイレブン2018(PRO EVOLUTION SOCCER 2018) |
クラッシュ・ロワイヤル(Clash Royale) |
ハースストーン(Hearthstone) |
リーグ・オブ・レジェンド(League of Legends) |
Arena of Valor※日本国内ではリリースなし |
ジャカルタ・パレンバンでは、上記5つの種目がeスポーツタイトルとして採用されます。
なかでも個人的に注目は『ウイニングイレブン』で、他タイトルよりも国内でのプレイヤーの裾野がひろく、いままでeスポーツに興味がなかった方にリーチできる可能性があります。
- eスポーツ人気のタイトル
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eスポーツは、PS(プレイヤースキル)が問われるゲームジャンルが採用され、対人ゲームが基本です。実際に盛り上がっているゲームは「League of Legends」「Dota2」「Counter Strike」「Over Watch」。
FPS(FirstPersonShooting/一人称でシューティングを行うゲーム)とRTS(RealTimeStrategy/戦略型ゲームをリアルタイムで行うゲーム)が主流です。
パリオリンピック採用が直近の大目玉
2024年の夏季オリンピックの開催地パリ、そこでeスポーツが採用されるかどうかは大きく注目されています。
実際に、招致委員会のトニー・エスタンゲ共同会長がAP通信に対して「eスポーツを視野に入れている」と明言しています。
「第18回アジア競技大会ジャカルタ・パレンバン」の結果次第では、市場の盛り上がり具合から見ても、正式に採用される可能性は、十分あると考えられます。(2020年東京五輪後に判断される模様)
反対意見も出ている
eスポーツはスポーツと認めるべきではないといった声も散見されます。世界保健機関WHOも、ネットゲームへの依存を病気と定義することを2018年に発表しています。
国内では一時期ネガティブな単語として「ゲーム脳」というワードが出ていたこともあり、世論を巻き込んだ採用活動になることは間違いありません。
とはいえ、メルカリやヤフオクなどのサービスは批判を浴びて成長してきましたし、なによりスマホゲームだって都度問題を克服して大きくなったので、世間の荒波なんのそのです。
eスポーツの市場規模
海外のゲーム市場とeスポーツ
全世界のゲーム市場は約11兆円(パッケージゲーム約1.2兆円、デジタル配信ゲーム約9.7兆円)で前年比20%成長です。
そのうちeスポーツ市場は、約700億円。全体の市場観からすると物足りない数字に目ますが、前年比は驚異の33%成長。この成長率を見通すと...なにやらビジネスの香りが漂ってきます。
地域別に分解すると、北米が約40%、中国が約19%、韓国が約5%、その他。アジアでは圧倒的に中韓がeスポーツ市場で活躍しています。
- ここが凄いぞ中国eスポーツ
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中国では、League of LegendsやDOTA2といったゲームが爆発的な人気を誇り、数年前からeスポーツが注目されています。
注目に比例してプロプレイヤーやプロチームが増えるだけではなく、eスポーツ専用の巨大なスタジアムが続々と施工されています。アリーナ型の施設が国内に数か所あることは世界的にも珍しく、今後もアジアのeスポーツを引っ張っていくことでしょう。
日本のゲーム市場とeスポーツ
日本のゲーム市場は過去最高の1兆5700億円(ゲームアプリは驚異の1兆580億)!踊り場に差し掛かったといわれたゲーム市場の停滞感は、数字で見ると完全に嘘!
そのうちeスポーツ市場は、約5億円...。平成30年3月総務省のデータ「eスポーツ産業に関する調査研究」によるものです。
きええええカラい!と思うからもしれませんが、レポートを見るとeスポーツのタイトルホルダー(パブリッシャー)や広告代理店の売上がないように感じられるため、もうちょい大きな市場です。
e-sports大会の賞金
メチャーな大会名(ゲーム名) | 賞金 | |
---|---|---|
アジア | ワールド サイバー アリーナ (リーグ・オブ・レジェンド/ DOTA2/CSGOなど) |
総額 約3,000万ドル |
アジア | leagueoflegends World Championship (リーグ・オブ・レジェンド) |
約460万ドル |
北米 | DOTA Pro Circit (DOTA2) |
約2,478万ドル |
北米 | The Overwatch League (オーバーウォッチ) |
約350万ドル |
北米 | EvolutionChampionshipSeries 通称EVO (ストリートファイター/KOF/GUILTY GEAR/スマブラ/Injustice/BLAZBLUE/鉄拳) |
- |
欧州 | Hearthstone Championship (ハースストーン) |
約100万ドル |
日本 | モンストグランプリ (モンスト) |
約6,000万円 |
日本 | ワールドグランプリ (シャドウバース) |
約1.1億円 |
賞金額ランキング(タイトル)
タイトル | ジャンル | 賞金総額 |
---|---|---|
Dota2 | MOBA | 約1億3000万ドル |
LoL | MOBA | 約5,000万ドル |
Counter-Strike | FPS | 約4,700万ドル |
StarCraft II | RTS | 約2,500万ドル |
Hearthstone | TCG | 約1,150万ドル |
日本国内ではあまり馴染みのない「Dota2」が圧倒的な人気を誇り、2013年のリリース以降eスポーツ大会の最高賞金額を更新し続けています。
賞金の仕組み自体がゲームを盛り上げることと一体化してることが特徴。「クラウドファンディング型賞金制」を採用していて、プレイヤーがゲーム内の特殊コンテンツを購入することで賞金総額が増額されています。
- MOBAって何?
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MOBAは、マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ(Multiplayer Online Battle Arena)の略です。RTSゲームの1種で、プレイヤーはキャラを操作し、味方と協力しながら勝利を目指す対人戦ゲームです。
一般的なRTSとの違いは軍全体を操作するのではなく、ゲーム開始時に選択したキャラを操作すること。キャラにはレベルやスキル、武器防具などの装備やアバターといったRPGのような要素をもつことにも特徴があります。
日本期待のeスポーツタイトルは何?
日本にはゲームセンター文化が根強く残っているため、代表的なタイトルでは「ストリートファイター」や「鉄拳」、「KOF」などは今も昔も日本勢が海外勢と競えています。
そして、2018年超盛り上がっているモバイルゲーム「荒野行動」「クラッシュロワイヤル」、2018年12月にリリースした「スマブラSP」は今後の期待タイトルといえます。
特にスマブラは、現時点でも賞金総額約250万ドル、eスポーツ全タイトルのなかでも20位であり、新作によって一層熱狂が予想されます。
eスポーツって日本ではどうなの?
国内のeスポーツ関連まとめ
2018年08月 |
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GMO運営の「ウィムジカル ウォー」 ビットコイン300万円相当を賞金にした大会開催を告知 |
2018年07月 |
プロ野球がeスポーツに本格参入を発表 |
2018年05月 |
パズドラのプロ認定を賭けたesports大会開催 |
2018年02月 |
eスポーツの普及促進のため 日本eスポーツ連合(JeSU)設立 |
2017年12月 |
サイゲームズ運営の「シャドウバース」 国内eスポーツ大会最高額の約1億1,000万円の大会開催を告知 |
荒野行動が大流行
日本では、世界で流行しているeスポーツタイトルは注目されづらく、家庭用コンソールゲーム、そのなかでもRPGが人気です。
その流れを大きく変えてくれたのが2017年11月にリリースされた「荒野行動」。TPSバトルロワイヤルゲームとよばれるジャンルで約100人のプレイヤーが同時に戦闘を行い最終的に残った1名が勝者になります。
全世界で2億人を超えるプレイヤーが参加。6月24日には初のオフラインイベント「荒野の光!スター誕生!」が開催され、総額1,000万円の賞金が予定されています。
国内のeスポーツ関連企業
日本国内でも数年前からeスポーツがくるといわれていたものの、その動きは昨今ようやく動きが本格化し、プレイヤーが明確になってきました。
eスポーツ大会そのものを運営する「RAGE」、プラットフォーマーを目指す「OPENREC」、プロゲーマーを育成する専門学校たとえば「東京アニメ声優専門学校」、場を提供するeスポーツカフェ、そしてプロチームが続々増えてきています。
また、eスポーツ大会の告知や運営、法律関係などまるっとノウハウがある企業は非常に少なく(ちなみにe-Sports大会は単なるイベント屋ではゲーム性の理解に至らず絶対に盛り上がらない)、国内では「ウェルプレイド」「RIZeST(SANKO子会社)」の2社が有名どころです。
- みんな知ってよウェルプレイド
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ウェルプレイドは大会運営はもちろん、配信回りやプロプレイヤーの支援などesportsに超特化しているグレートカンパニーです。
コーポレートサイトもeスポーツに異常に固執するナイスセンスで、著者も転職したい。
日本では流行らない?
そんなことはない!eスポーツが流行らないなんて絶対嫌だ!と個人的には考えているものの、いくつか解決していかなくてはいけない問題もあります。
そもそもeスポーツを成立させる条件は、「法律」「文化」「コミュニティ」「ゲーム性」「ウォッチビリティ」の5つだと考えているため、まず法律と文化について考察してみましょう。
法律
eスポーツという言葉がもっとフューチャーされるには「賞金額〇〇億円!!!」が最もわかりやすいのですが、実はこの高額賞金の大会が、日本では開催し辛い環境にあります。
賞金制の大会を開きたくても、景品表示法や刑法賭博罪、風営法といった法律に抵触する恐れがあるからです。
現在は、プロプレイヤーを認定し報酬という名目で回避するなど模索が続いていますが、いずれにしろ多くの企業が動きにくい状況です。
文化
海外で人気のゲームは基本的に「オンラインゲーム」、日本では「家庭用コンソールゲーム」「スマホゲーム」がメインであるため、そもそも現在主流のeスポーツとは大きく乖離があります。
また、国内ではゲームプレイは批判を何故か浴びやすく、スポーツ同様に汗かき努力していても、世論の風向きは厳しいです。
- でもでも国体になってるんだぜ日本
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日本eスポーツ連合(JeSU)は2019年茨城国体で、eスポーツ大会を開催することを発表。
ゲームメーカーやメディアと共同で運営し、KONAMIのサッカーゲーム「ウイニングイレブン」シリーズのほか、他タイトルの採用も検討中としています。いいぞ日本、もっとやれ!
eスポーツの土台は「コミュニティ」
すでに述べたように、eスポーツを栄えさせるために重要なのは、「法律」「文化」「コミュニティ」「ゲーム性」「ウォッチビリティ」の5つが重要です。
「法律」「文化」の変革には闇のチカラ?が必要で、「ゲーム性」「ウォッチビリティ(観戦しやすさ)」はメーカーが中心に動く事象です。
それに対して、「コミュニティ」は誰だって応援しやすく、そして何よりパワーが圧倒的になる可能性を秘めています。
イースポーツのコミュニティとは何か
コミュニティの定義は非常に幅広くありますが、企業(esportsタイトルパブリッシャー、広告代理店)、プレイヤー(大会などに参加しないユーザーも含む)、ファン(プレイヤーに紐づくファン、観戦者)に大きく分かれます。
最大の肝は、ユーザーとファンです。このコミュニティをどれだけ飛躍させられるかで今後の拡大が決まります。
まずプレイヤーの収入機会の増加が必須
プレイヤーの収入機会を増やすことで、活動の幅も大きく広がり、永続的にゲームに集中できる環境が形成されていきます。いまは超有名プレイヤーすら稼ぐ場所がないために、海外の大会に遠征できないことはザラにおこっています。
現状では、プロプレイヤー個人、もしくはプロチームにスポンサーがはいる流れが主流ですが、もっと多角的かつ安定した収入を得られる機会が必要です。
スポーツが流行るためにはヒーローが必要です。ヒーロー誕生のために、まずはベースとなる収入基盤を大人が整えていきたい。
ファンの拡大によって経済圏が拡大していく
市場規模を大きくするためには、ファンの拡大は必須です。そのためにはわかりやすい形で世間にeスポーツを認知させる活動が必要です。
ミクロの視点ではプロゲーマーやチームからの情報発信、マクロの視点ではTVでの番組放映や、先日発表されたようなプロ野球史上初のeスポーツリーグとなる「eBASEBALL パワプロ・プロリーグ」の開催などのインパクトが求められます。
ユーザーとファンが増えることで市場が大きくなり、市場に投下される資本も増加します。そのループを生むために、まずプレイヤー、そしてファンコミュニティを肥やしていくことが重要です。
eスポーツチームの課題と収益性
最後に、スポンサードするなら猫も杓子もプロチーム、みたいになってるので、どれくらいスポンサー投資すればいいのか問題。
めっっっっっっちゃ投資してください。そうでなければ、継続的な仕事を創り出して対価として報酬機会を増やしてください。
プロチームの運営は、選手、施設、コーチなどのサポートスタッフの給与、遠征費、そのほか諸々でどう考えても赤字です、
まずはスター選手の発掘が日本では急務です。サッカーでいえば本田やキング・カズ、バスケであればジョーダンや田臥、野球であればイチローのような選手に出会うためにはまず環境整備が大事です。
eスポーツを「ビジネス」とでとらえた場合、多くのビジネスと違うのは、中心が「人とコミュニティ」にあること=スポーツと一緒。
まずはここを肥やすことに一生懸命になりたい次第です!