イギリスの金融業界が異例の注意喚起!深刻化するオンライン詐欺被害
2022年は金融詐欺が大幅に増加し、その多くはオンライン・サービスに関わるものでした。この現状に対してイギリスの名だたる銀行が、消費者に向けて警鐘を鳴らしています。イギリスBBCのレポートから、深刻化する詐欺の実情を紹介します。
※1ドル=135.1円で換算
オンライン上で多発する詐欺
ロンドンに本拠を構える国際金融グループBarclays(バークレーズ)はBBCに対して、詐欺のおよそ77%が、ソーシャルメディア、オンラインのマーケットプレイス、そして出会い系アプリなどで発生していることを明らかにしました。
同じくイギリスの名門Lloyds TSB(ロイズTSB)銀行は、なりすまし詐欺と、投資や商品購入に関わる詐欺が大多数を占めていると指摘しています。
またメッセージング・アプリWhatsApp(ワッツアップ)に関わる詐欺は1年で3倍に、Facebookマーケットプレイスでの詐欺は2倍になったことも明かしました。
これに対してWhatsAppとFacebookを運営するMetaの広報担当は、詐欺が業界全体の問題であるとBBCに答えています。詐欺師は洗練された手法で、email、SNSなどの幅広い媒体を通じて、さらにオフラインでも人々をだましているということです。
詐欺のエピデミック
Lloyds TSB銀行の詐欺防止責任者は、金融業界は「詐欺のエピデミック(地域的大流行)」に直面しています。
「70%を超える詐欺は、メインのプラットフォームを介して接触してきます。プラットフォームの運営企業は、詐欺を根本から排除することに責任を持ち、被害者に適切な救済措置を講じる必要があります」と述べています。
同じくイギリスの大手Natwest(ナットウェスト)銀行の担当者も、2022年にイギリス全体で約300万人が詐欺の被害に遭い、ここ最近で被害が87%も増加していることを明らかにしました。
そして、そのうちの60%はソーシャルメディア、もしくはテクノロジー系プラットフォームが関わっていることも指摘しています。
Lloyds TSB銀行もこの点を重視しており、商品を販売すると見せかけて消費者をだます、商品販売詐欺の60%がFacebookマーケットプレイスを介して、なりすまし詐欺の3分の2がWhatsAppを介して実行されているとしています。
また同銀行は2022年の詐欺被害に対して、2,650件の払い戻しを行ったことも明らかにしました。
TSBの詐欺防止責任者は、「ソーシャルメディア運営企業は消費者を保護するために、至急プラットフォーム上で対策を講じなければなりません。彼ら自身がプラットフォーム上での詐欺に対して、責任を持つ時が来ているのです」として現状を批判しています。
詐欺被害に対する救済の現状
イギリスの金融機関を総括する業界団体UK Finance(UKファイナンス)によると、詐欺によって損害を被った資産の56%は、2022年前半のうちに被害者に払い戻されたとのことです。
前出したイギリスの大手銀行は、APP詐欺の被害者に払い戻しを行うための「CRMコード(詐欺被害者に対する払い戻し規約)」に署名し、現在CRMコードは適正に運用されています。APP詐欺とは、巧妙に詐欺師のアカウントに消費者を誘導し、だまして送金させる手口です。
TSBは関連する詐欺被害者の97%に対して、返金処理を行っていると述べ、ほかの金融機関も同様の措置を講じるように、業界に働きかけを行っているようです。
イギリス消費者協会Which?の担当者は、「国会では1年以上、オンラインの安全性に関する法案が審議されています。しかしなかなか進展を見せず、その間にも詐欺の被害が拡大しているのです」と述べ、詐欺への対策が後手にまわっていることを危惧しています。
さらに、「政府はすぐに審議を進めて、迅速に法案を立法化しなければなりません。その上で強力な保護システムにより、消費者を守る態勢を整えることが必要です」とも述べています。
遠い島国の日本でも、これを対岸の火事として眺めているわけには行きません。政府や業界には詐欺被害が拡大する前に、適切な対策を講じることが求められています。また我々消費者も、自分の資産は自分で守ることを意識する必要があるでしょう。
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