仮想通貨取引におけるドミナンスの重要性|ビットコインの1強時代再来か?

仮想通貨取引におけるドミナンスの重要性

Bitcoin(BTC:ビットコイン)のドミナンス(市場占有率)は、6月に入ってから50%ラインを突破しました。これは2021年4月以来、およそ2年ぶりのことです。

価格も30,000ドル(約433万円)台を回復するなど、強気トレンドに移行する兆しも見えます。今後もこの勢いを維持して、再びBitcoinの1強時代が訪れるのでしょうか?

※1ドル=144.2円で換算

ドミナンスと時価総額との関係

Bitcoin

ドミナンス(dominance)という基準を利用すると、ある1つの暗号資産(仮想通貨)もしくは複数の異なる通貨の、市場における重要度を見積もることができます。この数値は市場全体の時価総額(market capitalization)に占める、特定の仮想通貨の時価総額割合を示しています。

Bitcoinのドミナンスが50%を超えたということは、Bitcoinの市場全体での価値が間違いなく第一位であることの証明です。では時価総額だけではなく、なぜドミナンスという基準が必要なのでしょうか?

実は時価総額は単独の指標であり、その通貨の市場でのポジションを反映するものではなく、市場全体の変動に合わせて変化してしまいます。

ドミナンスを分析することは、特定の仮想通貨と市場との相関性を見ることであり、他の通貨との比較やトレンドの予測を可能にしてくれるのです。

ドミナンス(%)と時価総額の計算式

ドミナンス(%) 特定の仮想通貨の時価総額 ÷ 市場全体の時価総額 × 100
時価総額 特定の仮想通貨の価格 × その通貨の総流通量

拡大するBitcoinのドミナンス

現在市場のほぼ半分を占めるBitcoinのドミナンスは、2020年ごろまでは70%に達していました。その後多くのアルトコインが登場するにつれて、Bitcoinのドミナンスは低下して、一時期は40%を割り込んだこともあります。

特にEthereum(ETH:イーサリアム)やTether(USDT:テザー)の台頭により、Bitcoinのドミナンスは徐々に縮小すると考えられてきました。

ところが2023年になり、アメリカでの仮想通貨規制が厳しさを増す中で、米証券取引委員会(SEC)がBitcoin以外の全ての仮想通貨を「未登録有価証券」に分類したことで、市場の状況が大きく変化しました。

さらにオーディナル(Ordinals:Bitcoin版NFT)やBRC-20規格のトークンなど、Bitcoinから派生した新しい商品の貢献により、Bitcoinのドミナンスが再び50%を上回るようになったのです。

主要コイン以外のドミナンス

すべての仮想通貨やトークンは、独自のドミナンス基準を持っており、コインマーケットキャップ(CoinMarketCap)のようなデータ分析サイトでいつでも確認できます。しかしドミナンスには別の利用法もあります。

例えばDeFi(分散型金融)コインのように、比較的ドミナンスが小さい通貨の場合には、Bitcoinやその他の主要通貨を除いたドミナンスをチェックするという方法が有効です。この方法を使えば、時価総額が小さい通貨でも、その動向をより正確にとらえることができるからです。

投資におけるドミナンスの活用法

ドミナンスの分析は、市場のトレンドに鋭い洞察を提供する可能性もあります。もしもBitcoinドミナンスが上昇傾向にあれば、投資家やトレーダーがアルトコインと比較して、Bitcoinが値上がりすると読んでいる可能性があります。

その反対にBitcoinドミナンスが下落傾向にあると、市場第一位の通貨に投資すべきタイミングではないのかもしれません。

これはBitcoinに限った話ではなく、Ethereumを含めたアルトコイン、DeFiコインなどの分析にも有効です。ステーブルコインのドミナンス上昇が、投資家がリスクを避けて安定性を選んでいることを示しているように。

つまりドミナンスの変動は市場心理を反映しており、新たな投資のチャンスを教えてくれるのです。今後も長期的な広い視野で、ドミナンスを注視する必要があるでしょう。

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