ビットコイン・コミュニティで高まる議論！現在審議中のソフトフォーク案を検証

Bitcoin(BTC:ビットコイン)におけるソフトフォークとは、旧バージョンとの互換性を備えたプロトコルの変更を意味します。現在もBitcoinコミュニティでは、いくつかの改善提案が審議されていますが、その中から特に注目されているソフトフォークを紹介します。

※1ドル＝146.2円で換算

慎重に進められるソフトフォーク

ソフトフォークの提案から実装までには、コミュニティのさまざまな人々が関わり、複数のステップに分けて審議が進められます。その段階で、圧倒的多数の同意が得られなければ、メインネットへの実装は行われません。通常審議は表のステップで実行されます。

ソフトフォークには、ネットワーク・ユーザー全員が参加する必要はありません。しかし実装を成功させるためには、特にマイナーやノード・オペレーターの協力が欠かせません

最新のソフトフォーク提案

現在審議されているソフトフォークの1つが、Bitcoinのサイドチェーンであるドライブチェーンです。それをサポートする2つの改善提案も含めて紹介しましょう。

ドライブチェーンではマイナーのサポートにより、Bitcoinネットワーク自身がサイドチェーンの安全性を保証します。しかしチェーン間での資産の移動は、長年の懸案事項となっているため、ドライブチェーンに関しても、コミュニティ内で盛んな議論が続いています。

ドライブチェーン(Drivechains)

ドライブチェーンを実装すると、Bitcoinのメイン・ブロックチェーンと、完全に分離した別のブロックチェーンとの間でBitcoinを送金できるようになります。

ドライブチェーンでは独自のルール、ブロックサイズ、動作方法などが設定可能で、より高速な処理速度や複雑なスマートコントラクトなども実現できます。

BIP300(Hashrate Escrows)

マイナーがBitcoinのメインチェーンとサイドチェーンを、同時に検証できる機能です。BIP300はハッシュレート・エスクロー(条件付捺印証書)の機能により、保証もしくは担保としてBitcoinを保管することができます。

BIP301(Blind Merged Mining)

マイナーがサイドチェーンを検証する時に、すべてのサイドチェーンをフル・ノードで稼働させることなく、検証を実行できる機能です。マイナーはシステムの負担を気にせず、複数のサイドチェーンをサポートできます。

その他実装済みもしくは検証中のソフトフォーク

ドライブチェーン以外にも、すでに実装されたか、もしくは今後の実装が提案されているソフトフォークがあります。そのいくつかを、最後に紹介しておきます。

過去にもSegWitやBIP66などのソフトフォークが実行されましたが、既存のエコシステムに影響を与えないことも重要な点です。そのためソフトフォークには、慎重で時間をかけた議論が必要なのです。

Taproot(タップルート)

Bitcoinのスクリプティング能力を改善し、プライバシーを高める機能で、2021年に実装に成功しています。

Schnorr Signatures

Bitcoinトランザクションの効率化と、マルチシグの安全性向上を図る機能です。すでにTaprootアップグレードにバンドルされています。

MAST(Merkelized Abstract Syntax Trees)

Bitcoinネットワークにおけるスマートコントラクトの、効率性と安全性を改善する機能です。今後のアップグレードでの追加が議論されています。

OP_CHECKTEMPLATEVERIFY(BIP119)

Bitcoin上でのスマートコントラクトと、オンチェ－ンの捺印証書契約を改善する機能です。現在は議論中の段階です。

SIGHASH_NOINPUT/ANYPREVOUT(BIP118)

ライトニング・ネットワーク(Lightning Network)などにおけるトランザクション署名に柔軟性を加える機能です。やはり現在は議論中の段階です。