機関投資家の市場参入が増加！ビットコインはゴールデンクロス形成か？

10月23日に2億7,500万ドル(約416億円)という巨額の空売りが清算された直後から、Bitcoin(BTC:ビットコイン)価格は急上昇を始め、一時は17ヶ月ぶりに35,000ドル(約529万6,000円)を突破しました。

さらに現在ゴールデンクロスを形成しつつあり、長期的強気トレンドへの期待が高まっています。

※1ドル＝151.3円で換算

危険水域にあるアメリカ経済

現在アメリカでは、一戸建て新築住宅の販売が伸びています。年間の住宅販売額は明らかに下がっているものの、中古住宅の供給不足もあり、建設業界が値下げをしているためです。ただし住宅ローン金利の上昇などで、今後は需要の減少が見込まれます。

アメリカ経済は危機的状況にあり、累積債務は33兆ドル(約4,993兆円)に達し、2023年の財政赤字は前年比23%増の1兆6,950ドル(約256兆5,000億円)という巨額なものです。その一方で第三四半期のGDP(国内総生産)は4.9%という高い伸びを示しています。

工業分野も5ヶ月間の収縮から一転して、10月には回復の兆しを見せています。サービス分野も同様で、PMI(購買担当者景気指数)は3ヶ月で最高の50.9を記録しました。

しかし9月のPCE(個人消費支出)のインフレ率は3.44%で、コアインフレ率も4%と政府の目標にはほど遠く、さらなるインフレへの危機感が高まっています。

こうした経済情勢の中で、Bitcoin市場への機関投資家の参入が注目されています。

アメリカ最大の取引所の1つであるCME(シカゴ・マーカンタイル取引所)のBitcoin現物取引額が、10月は20億ドル(約3,026億円)以上という記録的水準に達し、現物の建玉も11億5,000万ドル(約1,740億円)程度で安定しており、回復の兆しを見せています。

ただし市場では、かなりの額の売りも発生しています。Bitcoinが35,000ドルを突破した時には、そのタイミングで多くの短期保有者が現金化しようとしました。

それに対して長期保有者の大部分は動きを見せず、彼らの供給額は1,490万BTCという史上最高額を記録しています。市場力学から考察すると、この状況は強気市場の初期ステージにあるとも考えられます。

暗号資産(仮想通貨)全体では、明るいニュースが続いています。JPMorgan(JPモルガン)のJPM Coinは、法人や機関投資家の需要により、1日の取引総額が10億ドル(約1,510億円)を記録しました。

BlackRock(ブラックロック)社のBitcoin ETFが、世界最大級の決済清算機関であるDTCCに上場したことと、SEC(米証券取引委員会)のETF承認が迫っているという憶測も、市場を活性化する材料になっているようです。

10月末の1週間で、Bitcoin価格は15%以上も上昇しました。またドミナンスも50%を上回り、2年半ぶりの高水準に向かっています。さらにチヤートを分析すると、Bitcoinは2月上旬以来9ヶ月ぶりのゴールデンクロスを形成する可能性があります。

ゴールデンクロスは、短期的な価格動向が長期的価格動向を上回るタイミングで形成され、長期的な強気市場トレンドへの移行を示す指標です。通常は200日単純移動平均線(SMA)を、50日単純移動平均線が超えたタイミングを意味します。

10月30日の時点では、200日のSMAが28,100ドル(約425万2,000円)に対し、50日SMAは27,600ドル(約417万6,000円)でした。もしもゴールデンクロスが形成されると、Bitcoinは再び35,000ドルの抵抗線でリテストするかもしれません。

オンチェーン分析企業Glassnode(グラスノード)が提供するAVIV(Active Value to Investor Value)割合は、堅調に1.0以上を維持しています。

これはBitcoin価格が本来の評価額よりも上にあることを意味しており、平均的でアクティブなBitcoin投資家の利益が増加していることを表しています。

2021年9月のゴールデンクロスでは、その後Bitcoin価格は史上最高の69,000ドル(約1,044万円)を記録しました。しかしゴールデンクロスの後でも、弱気トレンドになる可能性があることも忘れてはいけないでしょう。