12月の仮想通貨マーケット・レポート！過熱するアルトコインの攻防

2023年12月に突入すると同時に始まった暗号資産(仮想通貨)相場の高騰は、3週目に入ってやや沈静化しています。しかし上位のアルトコイン間では、熾烈なランキング争いが続いています。

※1ドル＝145.4円で換算

NFT取引増加でソラナが上昇

Solana(SOL：ソラナ)は12月1日の約60ドル(約8,720円)から約28%上昇して、12月9日には約77ドル(約11,200円)を記録しました。これは2022年5月以来の高値です。

さらに時価総額でもUSDC(USDコイン)を追い越して、現在第6位にまでランクアップしています。

Solana躍進の原動力は好調なNFTセールスにあるようで、直近1週間の取引額は前週から53%も増加して6,800万ドル(約98億9,000万円)に達しました。Ethereum(ETH：イーサリアム)は5%ダウンの1億ドル(約145億4,000万円)であり、両者の差は大幅に縮小しています。

しかも12月8日の取引額は、Solanaの1,600万ドル(約23億3,000万円)に対しEthereumは1,100万ドル(約16億円)にとどまりました。今後はさらに攻防が激化すると予測されます。

ド－ジコインを追い詰めるアバランチ

Avalanche(AVAX：アバランチ)は12月1日の約21.5ドル(約3,130円)から約95%上昇して、12月12日には約42ドル(約6,110円)を記録しました。Avalancheは時価総額ランキングでも徐々に上昇し、現在Dogecoin(DOGE：ドージコイン)と第9位の座を争っています。

12月11日には時価総額が147億ドル(約2兆1,400億円)に達して、Dogecoinの137億ドル(約1兆9,900億円)を一時的に追い越してランクアップしましたが、12月13日現在は僅差で第10位につけています。

11月にはJP Morgan(JPモルガン)が同社のOnyx(オニキス)ブロックチェーンで、プルーフオブ・コンセプト(PoC：proof-of-concept)のテスト用に、Avalancheのサブネットを導入したというニュースが流れました。このニュースと価格上昇の影響を受け、Avalancheには数日間で200万ドル(約2億9,000万円)もの投資家の資金が流入しています。

また、NFT競馬ゲームのPegaxy(ペガクシー)を運営するゲームスタジオMirai Labs(ミライラボ)は、メインネットをPolygon(MATIC：ポリゴン)からAvalancheに変更することを発表しました。

一方でDogecoinもローンチ10周年の中で値上がりを見せ、一時0.1ドル(約14.5円)という年間最高額を記録しています。直近1週間でも8%値上がりし、12月だけで23%も上昇しています。

シバイヌコインを巡るクジラの動き

Shiba Inu(SHIB：シバイヌコイン)は12月1日の約0.0000083ドル(約0.00121円)から約27%上昇して、12月6日には約0.0000105ドル(約0.00153円)を記録しました。

12月10日、大口の仮想通貨クジラが4,000万ドル(約58億2,000万円)ものShiba Inuトークンを購入しました。第四四半期に入って以来活動が低下している仮想通貨クジラが、Shiba Inuに目をつけるという予想外の動きを見せたのです。

購入したShiba Inuはウォレットに保管されたままであり、長期的な保有戦略ではないかという憶測を呼んでいます。クジラの意思は不透明ですが、取引所を介さない相対取引の準備か、ウォレットの入れ替えの可能性が考えられます。

1ヶ月前にも、取引の12時間前に新規アドレスを取得した匿名のクジラが、今回とほぼ同額の4,400万ドル(約63億9,800万円)分のShiba Inuを送金したことが報告されています。8月以降は見られなかったクジラの動きが、水面下で活発化しているのかもしれません。

Shiba Inuの価格は市場の修正の影響でやや下がっていますが、現在2週連続で2ケタ台の伸びを見せています。これにはShiba Inuのレイヤー2サブネットである、Shibarium(シバリウム)の運用開始が関わっている可能性があります。

しかしShiba InuとShibariumが、価格とネットワーク活動の大幅な上昇を見せているとはいえ、Shiba Inu保有者のうち利益を上げているのは23%に過ぎず、62%は損失を被っているということです。

このように、仮想通貨市場が年末を前に盛り上がる中で、アルトコイン間での攻防も激化しています。今後の動向次第では、新たな勢力図に書き換えられるかもしれません。