USDコインで学ぶ!ステーブルコインの役割とは?
暗号資産(仮想通貨)市場が強気トレンドに入り、多くの通貨が値上がりする中で、ステーブルコインは常に一定の価格を保っています。
価格上昇によるメリットがないにもかかわらず、なぜ多くのトレーダーがステーブルコインを保有しているのか?大手取引所OKXの解説から、その理由を探ってみましょう。
※1ドル=150.6円で換算
ステーブルコインを代表するUSDCとは?
今回紹介するUSD Coin(USDC)は、2018年にローンチされたステーブルコインです。現在時価総額では仮想通貨全体で第7位につけ、ステーブルコインではTether USDt(USDT:テザー)に次ぐ第2位にランクされています。
元々はP2P決済システムの開発企業だったCircle(サークル)社が、大手取引所Coinbase(コインベース)と共同でCentre(センター)という非営利団体を設立して、USDCの発行や運営を行っていました。しかし現在はCoinbaseの支援を得て、Circle社が単独で運営しています。
ステーブルコインの仕組みとは?
USDCはEthereum(イーサリアム)のブロックチェーン上で機能する、ERC-20規格に準拠したステーブルコインです。その最大の特徴は、米ドルと1:1でペグされていることです。
トレーダーがUSDCを取得する場合、まったく同じ価値のドルを預託する必要があります。つまり市場に流通しているUSDCと、等価のドルがリザーブされることになるわけです。
このように、価値が実体的な法定通貨によって保証されている点が、ステーブルコインとほかの仮想通貨が異なるポイントです。
またUSDCには、信頼性が極めて高いという特徴もあります。リザーブされた資産は第三者機関による監査を受け、米証券取引委員会(SEC)に対して公式に申告されます。2023年11月9日の資料によれば、USDCのリザーブは以下のとおりです。
リザーブされた資産は、SECに登録したCircle Reserve Fund(サークル・リザーブファンド)が管理しており、そのほとんどが短期米国債などで保有され、残りは現金で保有されています。
これらの資産は独立した口座に分離保管されているため、Circle社の独断で引き出すことはできません。それが高い信頼性と透明性につながるわけです。
※市場に流通するUSDC総量は241億USDC(約3兆6,300億円)
※Circleがリザーブする総資産は242億ドル(約3兆6,500億円)
ステーブルコインを利用するメリットは?
ステーブルコインは簡単に法定通貨と交換でき、その反対も同様です。また米ドルと同等の価値が保証されているため、国際送金などにステーブルコインを使うと、高速でしかも低コストの処理が可能です。
さらにステーブルコインの利用が、仮想通貨市場の流動性を高めることにもつながります。
価格変動による利益はないものの、各取引所が提供するSimple Earn(シンプルアーン)などを利用すれば、レンディングやセービングが可能になり、ステーブルコインを保有するだけで利益を生み出すことも可能です。
もう1つの重要なメリットは、やはりステーブルコインが持つ信頼性の高さです。
流通しているUSDCと等価のドルがリザーブされていることと、そのリザーブ資産がCircle社の経営から分離保管されていることから、例えばFTXのような破綻事件が起きたとしても、トレーダーの資産は完全に保証されます。
価格暴落による影響も少ないため、安全な投資を求める場合には最適な資産運用になるでしょう。
一方でデメリットとしては、米ドルと連動していることから、ドルの価値が下落すると仮想通貨相場に関係なく価値が下がる点が挙げられます。しかしドルの安定性を考えれば、今のところ不安を感じる必要はないでしょう。
最も汎用性の高いERC-20をベースにしていることから、Circle社のUSDCエコシステムは、今後さまざまなプラットフォームや金融機関との統合が進みそうです。
ステーブルコインを軸にした金融システムが広がることにより、eコマースやDeFi(分散型金融)などがさらに発展するかもしれません。
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