低迷するNFTに明るいきざし？一方でクジラの動きも活発化

10月に入り、Bitcoin(BTC：ビットコイン)が一時60,000ドル(約887万円)近くにまで下落するなど、先が読めない暗号資産(仮想通貨)市場ですが、その周辺ではさまざまな変化が見られるようです。そんな中、久しぶりにNFT(非代替性トークン)の話題が注目されています。

※1ドル＝147.9円で換算

NFTは低迷期を脱するのか？

仮想通貨市場全体が不安定な中で、9月30日から10月6日までの1週間で、NFTの売上は8,490万ドル(約125億6,000万円)に達しました。これは8月末の9,300万ドル(約137億6,000万円)に次ぐ高成績です。

ただし、人気がピークだった頃のNFTは、2021年8月末に22億ドル(約3,254億円)を超える売上を記録していました。

直近のNFT市場では、トップ5のブロックチェーンのうち、Mythos(MYTH：ミソス)が前週比6,000%アップの1,500万ドル(約22億2,000万円)を売り上げたほか、Polygon(MATIC：ポリゴン)も210%の伸びを示しました。

Mythosはゲーム大手のMythical Games(ミシカルゲームズ)のブロックチェーンであり、それに統合されたゲームアイテム取引市場のDMarket(Dマーケット)での売上が、1,500万ドルのうち1,400万ドル(約20億7,000万円)を占めています。

一方でBitcoin、Ethereum(ETH：イーサリアム)、Solana(SOL：ソラナ)は前週よりも取引が低下しています。

NFT市場全体では、直近1週間で売上を伸ばすと同時に、バイヤーの数も前週比で22%増加して839,000を記録しました。またトランザクション数も前週から71%増加して、トータルで200万件を突破しています。

しかし上昇トレンドにあるとはいえ、NFT関連の売上規模は過去のピークとは比較にならないレベルで停滞しています。

1ヶ月間の総売上は8月が3億7,300万ドル(約551億7,000万円)で、9月はかなり縮小して3億300万ドル(約448億円)でした。2024年の最高額は3月の16億ドル(約2,366億円)だったので、決して活気がある状況とはいえません。

アナリストによる分析では、2023年にはNFT全体の3分の1が活動停止になり、2024年にはこれまで調査されたおよそ5,000のNFTコレクションのうち、96%が活動停止に陥ると見られています。

これらのNFTは1週間以上取引、売上、ソーシャルメディアでの活動がないものです。平均的なNFTの取引寿命は1年といわれており、上位を占めるNFTブロックチェーン以外は、徐々に市場から姿を消す運命にあるのかもしれません。

水面下で暗躍するクジラたち

仮想通貨情報プラットフォームの調査によると、「dimethyltryptamine.eth」というEthereumのアドレスを持つクジラ(大口投資家)が、2つの取引で多額の利益を得た模様です。

この投資家は7月はじめにおよそ47,000ドル(約695万円)にあたる15.6ETHで、364万のSPXトークンを購入しました。それから3ヶ月、364万SPXは約26倍の127万ドル(約1億8,800万円)にまで高騰しました。

さらにこのクジラは以前0.125ETH(約251ドル＝37,000円)で5兆9,000億PEPEトークンを購入しましたが、この額はピーク時に1億ドル(約148億円)の価値にまで上昇しました。クジラは3兆9,400PEPEを売却し、現在も1兆9,700PEPEを保有しています。

別なクジラは前週に、およそ23億DOGE(ドージコイン)を蓄積しました。これは2,300万ドル(約34億円)に相当し、1月以降で最大の蓄積レベルです。巨額の蓄積は投資家が注目している証拠であり、価格上昇につながるサインかもしれません。

さらに別のクジラは、ミームコインプロジェクトのPOPCAT(ポップキャット)で、9月12～13日に611万POPCATトークンを、1POPCATあたり0.68ドル(約100円)で購入しました。

現在この購入したトークンの価値は849万ドル(約12億6,000万円)にまで高騰し、このクジラは436万ドル(約6億4,500万円)の利益を得た模様です。

クジラはBitcoinも継続的に売却しており、価格に大きな圧力を加えています。彼らの活動が活発化していることは、市場が転換期に近づいていることを示しているのかもしれません。