ヨーロッパの仮想通貨規制強化!世界基準の規制フレームワークの誕生か?
2024年6月30日に、EU(欧州連合)では包括的に暗号資産(仮想通貨)を規制するMiCA(Markets in Crypto Regulation:仮想通貨市場規制)が施行されました。事実上世界初の規制フレームワークとなったMiCAについて、その概要と運用状況についてレポートします。
※1ドル=155.3円で換算
仮想通貨市場全般を規制する大規模な取り組み
MiCAの規制はEU域内の暗号資産とその発行者、サービスプロバイダー、取引プラットフォームすべてに及びます。その重要な機能は、あらゆる仮想通貨・トークン・ステーブルコインの利用者をリスクから保護することです。
MiCA発効以前のヨーロッパでは、各国がそれぞれに異なる枠組みで規制を行っていたため、国境を越えた取引が難しく、利用者やビジネスにとっても利便性に欠け、市場全体の成長も妨げられていました。
異なる法的管区で仮想通貨を運用するためには、ばらばらのルールの中で複雑な手続きを踏む必要がありました。
MiCAの規制下で仮想通貨に関わる企業は、サービスする通貨ごとにホワイトペーパーを準備するなど、以前よりも厳しい基準をクリアする必要があります。しかし1度承認されれば、今までよりもはるかに自由にEU全域で活動することが可能になるのです。
今後も乗り越えるべきさまざまな障害が残されていますが、MiCAによって仮想通貨の進化が加速され、EUが世界的な仮想通貨の中心地になるとともに、各種ビジネスにとっても極めてオープンな地盤が形成されるでしょう。
この取り組みは、アメリカやアジアにも大きな影響を及ぼすと見られます。
およそ41億円のマネーロンダリング資金を凍結
スペインの規制当局は、Tron(トロン)、Tether(テザー)、TRM Labs(TRMラボ)の協力を得て、EU圏広域でマネーロンダリングを行う組織の資金、日本円でおよそ41億円を凍結しました。上記3社のブロックチェーン企業は、2024年にT3金融犯罪対策ユニットを結成しています。
資金を凍結された組織は、国境を越えて巨額の現金や仮想通貨を移動させ、犯罪組織の資金洗浄に加担していました。スペイン当局は警察とT3金融犯罪対策ユニットの協力のもと、サービスプロバイダーの顧客管理データとウォレットを精査し、今回の組織特定に至った模様です。
すでにT3金融犯罪対策ユニットは、結成後に総額196億円の犯罪資金を凍結しています。
ただしTRM Labsの調査によれば、TronとTetherは犯罪組織に悪用されるケースが際立っており、悪意のあるトランザクションの58%は、Tronのネットワークを介して実行されていると言います。さらにTetherは、最も多く犯罪に悪用される資産だということです。
ステーブルコインの流通が制限される可能性
MiCAではステーブルコインの規制強化が1つの柱ですが、TetherのUSDTとCircle(サークル)のUSDCは、犯罪に悪用されるリスクが高いと言われています。
これに対してTetherのCEO(最高経営責任者)は、2023年におよそ350億円の「豚の屠殺詐欺」に関連する資金を凍結したと反論しています。
豚の屠殺詐欺には、カンボジアに拠点を置く闇Web市場のHuione Guaranteeが関与していると見られ、主にTetherが資金として使われているということです。さらにこの組織は独自のステーブルコインを発行して、資金凍結を回避する作戦も実行に移しているようです。
こうした動きに対してESMA(欧州証券市場監督局)が、MiCAの基準に適合しないステーブルコインの上場廃止を命じたことが報じられました。ただし、どのステーブルコインが対象になるのかは明らかになっていません。
いずれにしても、今後EUではMiCAの基準が厳格に実行されることは間違いないでしょう。一方日本国内では、資金決済法や金融商品取引法が一部改正されただけで、明確な仮想通貨規制のフレームワークは未だ構築されていません。
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