トランプ政権へのリスクヘッジ!仮想通貨取引所はヨーロッパ市場を狙う
前回の記事に引き続き、EU(欧州連合)での暗号資産(仮想通貨)動向をレポートします。現在EU経済圏では、大手取引所のBinance(バイナンス)やGemini(ジェミナイ)が、アメリカに次いで事業拡大を進めています。そこに新たな勢力が参入しそうです。
※1ドル=155.1円で換算
アメリカ国内で広がる経済的不安
アメリカの金融サービス最大手Goldman Sachs(ゴールドマンサックス)の戦略担当者は、トランプ政権が進める追加関税措置の影響について、今後数ヶ月以内に株式市場で5%という深刻な下落を誘発する可能性があることを指摘しています。
多くの投資家は、関税は貿易交渉が難航した場合の切り札と考えていたようですが、トランプ大統領は前置きなしにカナダやメキシコに関税の適用を突き付けました。ただしGoldman Sachsでは、この関税を一時的な措置と考えているようです。
一方でもしも関税が継続して適用された場合、S&P500指標は2~3%下がる可能性があるとのことです。これがすぐに金融政策の引き締めや、消費者および企業活動の変化につながるとは考えられませんが、収益性と株価がさらに低く評価されると、S&P500指標は短期的でも5%程度まで下落する可能性があるかもしれません。
クラーケンはEU全域での活動を加速
大手仮想通貨取引所のKraken(クラーケン)は、EU内での金融と資本全般を規制する金融商品市場指令(MiFID:Markets in Financial Instruments Directive)ライセンスの取得に成功しました。このライセンス取得は、キプロスの投資会社Cypriot Investment Firmを買収することにより実現したようです。
ライセンス取得によりKrakenは、EU圏内での安全で規制に合致した仮想通貨デリバティブ商品の取引強化が可能になりました。さらに今後数ヶ月以内に、独自システムの稼働が開始され、EU各地域の市場で商品がローンチされることになるはずです。
Krakenの担当部門も、「我々が世界全域にサービスを拡大する上で、ヨーロッパは最も優先順位が高い地域になっている。MiFIDライセンスの取得は、EU圏内の仮想通貨トレーダーや投資家に対して、安全性が高く規制に準拠した環境を提供することになるだろう」と自信をのぞかせています。
実際にKrakenの参入により、トレーダーや投資家は効率的で柔軟な方法で資産を運用できるようになり、担保になる通貨の種類も拡充されます。
Krakenは特にハイクラスの顧客獲得をターゲットにしており、2019年にイギリスの仮想通貨プラットフォームを買収して以来、EUへの進出タイミングを計ってきました。今回のMiFIDライセンス取得によって、ビジネス戦略が一歩前進したと言えるでしょう。
イギリスを拠点にするコインベースの戦略
イギリスはヨーロッパでも仮想通貨規制が厳格な国であり、英金融行為規制機構(FCA:Financial Conduct Authority)の主導のもと、2026年までには包括的な仮想通貨規制を設ける計画を明らかにしています。
そのイギリスで大手取引所のCoinbase(コインベース)が、FCAが発行するVASP(バーチャル資産サービスプロバイダー)への登録に成功しました。これでCoinbaseは仮想通貨と法定通貨の両方を、イギリス国内で取り扱うことが可能になり、同取引所にとって世界最大の市場に発展すると見られています。
今回の登録はCoinbaseの拡大戦略にとって重要な転換点であり、今後10億人の新規顧客獲得を狙う同取引所の基盤強化にもつながるでしょう。Coinbaseはイギリスでの規制基準を遵守しつつ、EU全域でのビジネス拡大を視界に入れているはずです。
このように、アメリカでトランプ新政権がスタートして以降、仮想通貨関連企業がアメリカ以外の地域で、徐々に事業拡大を活発化させています。今後の仮想通貨取引では、さらに広い視野で市場全体をとらえる必要があるでしょう。
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