仮想通貨犯罪の最前線、アメリカ司法省がビットコインで2,200万ドル相当を押収
アメリカ合衆国司法省(US Department of Justice)は、35歳のカナダ人の男から719BTCのビットコイン(BTC:Bitcoin)を押収しました。男はランサムウェア「ネットウォーカー(NetWalker)」を使って、当時の金額にして2,200万ドル(約32億円)相当をだまし取ったと見られています。
悪質な犯罪の対価は懲役20年
ランサムウェアとはコンピュータ・ウィルスの一種で、他者のコンピュータに侵入してファイルを暗号化、使えなくなったそのファイルを復元することと引き換えに、多額の身代金を要求するという悪質な犯罪です。
ランサムウェアは世界中で被害者を出しており、個人や企業のほか、救急隊や大学などにも度々攻撃を仕掛けています。最近では新型コロナウィルス問題で混乱する、医療業界をメインの攻撃対象にする傾向があるようです。今回の犯人は、ネットウォーカーとして知られる、高度に複雑化されたランサムウェアを使用していました。
米司法省の弁護士によると、今回の犯人は主に富裕者や高収益を挙げている企業をターゲットに、被害者のデータを暗号化して盗み出すことにより身代金を手にしていたようです。
捜査結果によると、米司法省は742,840カナダドル(約7,860万円)と、719BTCのビットコインを押収しました。これは当時の相場では2,180万米ドル(約31億7,600万円)であり、現在の価値にすると1,440万米ドル(約20億9,800万円)に相当します。
アメリカ当局は犯人の身柄を引き取り、連邦刑務所で20年間服役するという判決を下しました。かなり厳しい判決ですが、当局はこの事例が同様の犯罪者に対する警告になることを期待しています。
さらに、今回の事件に関してFBIの特別エージェントは「今回の判決はアメリカ社会への教訓になるはずだ。FBIはその世界規模の機動性と持続的な法的執行力をもって、常にサイバー犯罪と闘っている。我々の対サイバー部門は、合衆国市民を食い物にする犯罪者を見つけ出し、彼らに対して法のもとで正義を行うだろう」という力強いメッセージを発信しています。
他にもある最近の犯罪事例
1ヵ月ほど前には、フロリダ在住の男を中心とする、暗号資産(仮想通貨)取り引きプラットフォーム「エンパイアズX(EmpiresX)」のメンバーが、投資家から1億米ドル(約145億7,000万円)相当のデジタル資産をだまし取っています。
彼らの犯罪手法は、投資家に高い利益率を約束して、彼らが提供するAIボットを使わせることで資産をだまし取るというものでした。これはポンジスキームと呼ばれる金融詐欺で、利益の還元や高配当を約束して資金を集め、その一部を抜き取りながら出資者を増やすという悪質な犯罪です。
エンパイアズXは中国を拠点にしており、アメリカの金融監視リストには未登録で、以前から信頼性が疑われていました。この事件で逮捕された主犯格の男は、エンパイアズXのヘッド・トレーダーであり、偽物のAIボットと虚偽の投資によりポンジスキームに加担していました。彼に下された判決は、連邦刑務所で5年間服役するというものでした。
また8月にはフロリダ州マイアミ在住の3人の男が、銀行と仮想通貨取引所から合わせて400万ドル(約5億8,300万円)あまりを盗んだ罪で起訴されました。
彼らは虚偽の身分証明を用いて、プラットフォームから仮想通貨を購入した後、取り引きが正当な権限にもとづいて行われていなかったと申し立て、金融機関に払い戻しを要求していました。
一連の捜査の結果、アメリカ合衆国国土安全保障省(US Department of Homeland Security)は、詐欺を特定して犯罪者に対して“正義”を実行しました。彼らには連邦刑務所で30年間服役するという重い判決が下されています。仮想通貨犯罪に対する厳罰化は、一部見せしめ的な意味もあると思われますが、アメリカ当局は今後もこの方針を継続するかもしれません。
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