仮想通貨の世界規模での課税基準について、OECDが独自の協議事項を提案
OECDは暗号資産(仮想通貨)に関して、取り引き上での課税の透明性と取引情報の報告義務について、世界基準での指針となる重要な協議事項を提案しました。
暗号資産を取り引きする上では、中央銀行のような仲介役が必要ないという点が、既存の金融システムと大きく異なっています。そのため脱税やその他の不法行為に悪用される可能性があります。10月10日にOECDが示した見解は、その点を考慮した暗号資産と課税に関する内容でした。
OECDが提案した協議事項の内容
OECD(経済協力開発機構:Organization for Economic and Development)はフランスのパリに事務局を置く、世界の主要38カ国が加盟する国際機関です。主に経済成長と貿易の発展、発展途上地域の開発などを目的に活動を行っています。
今回OECDが提案した協議事項は、CARF(Crypto-Asset Reporting Framework and Amendments to the Common Reporting Standard Public consultation document)という非常に長いタイトルのものでした。
そのCARFによれば、暗号資産は既存の金融世界基準の枠組みには収まらず、世界規模での脱税行為を回避するようには体系化されていないと指摘されています。そのため暗号資産業界が拡張するにつれ、課税に関する業務統制が見えにくくなる可能性があります。
さらに検証作業の難易度も高くなり、関連する納税義務が十分に評価された上で報告されたとして、表面上は適正に課税されたかのように見えてしまう可能性もあります。つまり、既存の金融システムの枠組みでは、暗号資産に対する厳正な課税が難しいということです。
そこで脱税に対する規制を強化するため、2021年4月に開かれたG20の会合ではOECDに対して、暗号資産取引に関する情報を各国間で自動的にやりとりする仕組みの創設が提起されました。
その後の専門家会議では、暗号資産に対する世界基準の納税体系について、2022年3月から議論を始めることを確認し、8月26日にはOECDの租税委員会(CFA)の協議事項として確定しました。
OECDの提案は、組織的もしくは個人投資家による迅速な暗号資産の採用に対応するもので、最新の協議事項の中では暗号資産を、デリバティブ商品やステーブルコインも含めて、金融仲介者を必要としない分散化された資産として位置付けています。
協議事項の中では、仮想通貨マーケットで中心的な役割を果たす取引所と仲買業者は、マネーロンダリングを規制するルールのもとで、顧客が適正な取り引きを行っていることを証明するために、必要な書類を準備して検証しなければなりません。
また法人や個人が行う活動については、デューデリジェンスを実行することが必要になるでしょう。デューデリジェンスとは、取り引きなどの際に相手側について詳細に調査し、そのリスクまで分析するという検証作業のことです。
G20におけるOECD提案のゆくえは?
今回提案された協議事項CARFは100ページにもわたる長文で、G20に参加する各国の財務大臣や中央銀行総裁の前で公表されることになるでしょう。その席は10月の12日から13日までアメリカのワシントンで開催される「G20財務大臣・中央銀行総裁会議」になりそうです。
G20の中でこの重要な場に望むのは、EU、イギリス、アメリカ、ブラジル、韓国、インドになるとのことで、もしも協議事項が合意に至れば、公式的な採用に向けて前進する可能性があります。
その結果OECDに加盟する38カ国の中で、暗号資産を保有する納税者に関する情報を、自動で処理するような検証システムの枠組みが構築されるかもしれません。
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