金欠状態のビットコイン・マイナーが頭を抱える電力コスト問題
ビットコイン(BTC:Bitcoin)の価格が下落して以来、マイナーたちは過去最大の困難に直面しています。彼らは2021年11月の歴史的高値を経て、それ以降ほぼ1年近くの間収入が減り続ける状況に耐えてきました。この状況を踏まえると、彼らは今後可能な限りコストを抑えなければなりません。その最も効果的な方法は、マイニングで最大の出費になる電力コストをカットすることです。
より安価な電力を求めて
現在ビットコインのマイニングは電力事情に直結しており、プルーフ・オブ・ワークのネットワークであるため、マイナーは収入とその延長線上にある利益率を確立するために、電力コストを計算に入れる必要があります。ビットコインの価格が下落すると、マイナーの収入も減少するので、彼らはより安価な電力を探して利益率を高めなければならないのです。
2021年の強気市場では、エネルギー効率に優れたマイニングマシン「アントマイナーS19」を使って、マイナーは1MWh(メガ・ワットアワー)の電力消費で500ドル(約68,800円)の収入を見込めました。しかしその後ビットコイン価格が21,000ドル(約288万7,500円)程度まで下落すると、収入も半分以下に減少しました。
そこでマイナーが利益率を確保するためには、安価な電力を探すことが第一の目標になりました。例えば2021年当時、マイニングに40ドル(約5,500円)/1MWhのコストがかかり、500ドルの収入を得たとすると、単純計算で利益は460ドル(約63,300円)になりました。現時点でその利益を維持するためには、電力コストをおよそ半分の20ドル(約2,750円)に抑えなければなりません。
安価な電力を手に入れるための1つの選択肢が、事業拠点をロシアなどの電気代が安い地域に移すことです。しかし今回のウクライナ侵攻により、マイナーは別の地域に事業拠点を移さざるを得ませんでした。
マイニングそのものをコストダウンするために
ビットコイン価格の下落によって、ほとんどのマイニング企業は大幅な収入減少に直面しています。マイニング事業の継続に必要なキャッシュ・フローを維持するため、かなりの数の企業が、手持ちのビットコイン資産を売りに出す状況が続いています。しかも直近の3ヵ月間を見てみると、自らが生成したビットコインよりも、多くのビットコインを売りに出している企業もあるのです。
事業コストを削減するために、マイナーはさらにエネルギー効率のよいマイニングマシンの導入も検討しています。より安価な電力が見つからない場合、マイニングマシンの効率を高めるという選択肢に頼ることになりますが、現在マイナーの間で最も人気があるのは前述した「アントマイナーS19」のシリーズです。しかし、こうしたマシンを導入したとしても、マイナーが事業継続に求めるコスト削減効果を上げるのは難しい状況です。
結局のところ、マイナーにとって最大の関心事は、やはりより安価な電力を探すということに戻ってしまいます。しかし中国ではマイニングそのものが禁止され、ロシアでは紛争により業務が続けられないということで、現在はアメリカのテキサス州などが、ビットコインのマイナーを地域に誘致するため、魅力的な電力価格でオファーを続けている状況です。
ところが現在アメリカでは、全国規模で電気代が高騰しており、実に6分の1の世帯が電気料金を滞納しているというニュースもあります。(参考:Bloomberg)
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