アメリカの老舗資産運用会社が予測！2023年のビットコインは1万ドルにまで下落

アメリカの老舗資産運用会社であるVanEck(ヴァンネック)は、2023年第一四半期のBitcoin(BTC)価格についての予測を発表しました。予測内容として、2021年の最高値から80%以上もダウンするという厳しいものでした。

※1ドル＝139.4円で換算

マイニング企業の衰退が招く価格下落

米国連邦準備制度による金融引き締めが緩和

12月13日に公表されたアメリカのインフレ・レポートにより、米国連邦準備制度による金融引き締めが緩和される見込みが強まったことで、リスク資産に関する見通しはやや明るくなりました。

しかし、VanEckによると、Bitcoinは依然強い圧力下にあり、マイナーの危機的状況がマクロ経済の伸展に暗い影を落としているとのことです。

マシュー・シーゲル(Matthew Sigel)氏の見解

「マイニング企業の破綻連鎖により、2023年第一四半期のBitcoin価格は、10,000ドル(約135万5,000円)から12,000ドル(約162万6,000円)の間にまで落ち込むでしょう。おそらくこれで、現在の弱気市場価格が底を打つことになるでしょう」と予想を述べています。

※VanEckのデジタル資産リサーチ部門責任者マシュー・シーゲル(Matthew Sigel)氏の見解

運用コストの高騰と通貨価格の下落に苦しむ

今年Bitcoinのマイニングに携わった関係者は、運用コストの高騰と通貨価格の下落に苦しみました。マイナーの利益はBitcoin価格に直結しており、マイニングで手にした報酬は、ほとんどが運用コストとして消えて行きました。

今年のようにBitcoin価格が61%も下落すると、マイナーはお手上げの状態になり、手持ちの資産を売却した上で市場を離脱してしまうと、それがさらなる価格低下を招きます。最悪のケースでは、この流れが連鎖的な負のスパイラルを生み出すかもしれません。

現状でマイナーは不利な市場状況の中、手持ちの資金を取り崩しながら何とか生き延びています。

マイナーのウォレットにある総資産の落ち込み

ブロックチェーン分析企業のGlassnode(グラスノード)のデータでは、マイナーのウォレットにある総資産は、7月以降で25,000BTC(約4億4,400万ドル：約602億円)以上減少し、14ヵ月ぶりに182万BTC(約323億2,300万ドル：約4兆3,800億円)にまで落ち込んでいます。

VanEck提供の「The MVIS Global Digital Assets Mining Index」は、マイニング企業のパフォーマンスを表す指標ですが、時価総額中央値はわずか1億8,000万ドル(約243億9,000万円)です。ほとんどの構成銘柄が、簿価(帳簿残高)を遥かに下回った状態で取り引きされています。

電気代の高騰とBitcoin価格の低迷が続く状況では、マイナーの利益は赤字の状態が継続し、多くのマイニング企業が再編や合併を迫られることになるでしょう。

VanEckのBitcoinの価格予想

VanEckが予測する12,000ドルでも、2021年11月に記録した69,000ドル(約934万9,500円)の最高値からは82%の下落です。しかし、VanEckのシーゲル氏は、2023年後半にBitcoin価格は30,000ドル(約406万5,000円)台を回復するとも予測しています。

またシーゲル氏は、「インフレが収まり、ロシアとウクライナが停戦すると仮定して、エネルギー供給が回復した上で市場での通貨供給量(マネーサプライ)が転換すれば、そこから強気市場が始まる可能性があります。

さらに石油輸出国が、暗号資産(仮想通貨)を自国のファンドに採用するようになれば、強気市場の可能性は一段と高まるでしょう」とも述べています。

VanEckのさらなる予測

VanEckは、2023年について、金融機関がオフチェーンで100億ドル(約1兆3,500億円)以上をトークン化して、新規の分散型ステーブル・コインの時価総額が10億ドル(約1,350億円)に達するとも予測しています。

また、ブラジルが世界で最も仮想通貨に前向きな国の1つになり、国債などの一部をブロックチェーン上でトークン化、Ripple(リップル)が米証券取引委員会(SEC)との訴訟に敗れること、Ethereum(ETH)の引き出しがビーコンチェーンで可能になる予測も挙げています。