ビットコインが地球環境を破壊する?マイニングによるエネルギー浪費問題を検証
Bitcoin(ビットコイン)にはマイニング(新規発行)という仕組みがありますが、この作業は莫大なエネルギーを必要とするため、化石燃料の消費量を増やし、さらには地球環境の悪化を招くという意見があります。
果たしてマイニングで消費されるエネルギーは、それほど膨大な量なのでしょうか?今回はBitcoinとエネルギーとの関係について、暗号資産(仮想通貨)取引所Kraken(クラーケン)が検証した結果についてレポートします。
※1ドル=139.4円で換算
Bitcoinとマイニングの問題
現在Bitcoinのマイニングは、専門企業による寡占化が進み、マイニング企業は大規模なコンピューター施設を使って、約10分間に1つのブロックを生成するという作業を行っています。
この作業では最初にブロックの生成、つまり取り引きの認証処理に成功したマイナーに、新規に発行されるBitcoinとトランザクション手数料が報酬として支払われます。これは必然的に、マイニング企業間での競争を生み出します。
競争に勝つためには、より強力なコンピューターを使い、取り引き認証の計算速度を高める必要があります。多くのマイニング企業が競争力を高めようとすると、コンピューターが消費する電力は莫大な量になるでしょう。
Bitcoinのエネルギー消費量は算出可能
Bitcoinマイニングで消費される総電力量は、理論的にですが試算することが可能です。代表的なCBECIなどの指標を使うと、任意の時点での電力消費量が算出できます。
試算には、マイニング難易度やハッシュレート、マイニング設備の要素をもとに、CBECIをはじめとするツールで計算すると、マイニングで消費される電力量を見積もることができます。
マイニング難易度
基本的には、より多くのマイナーが競争すると、マイニング難易度も上昇します。その結果競争に敗れるマイナーが増え、その作業は電力の無駄遣いとも考えられます。しかし多くのマイナーの競争により認証の精度が向上し、取り引きの安全性が高まることも事実です。
ハッシュレート
ハッシュレートは、1秒間にコンピューターが処理できる計算能力を表しますが、同時にすべてのマイナーが使用するコンピューターのパワーを、合計して見積もる指標にもなります。
マイニング設備
マイニングには、ASICテクノロジーが必須であり、設備や機器は常に効率化が図られ、高いハッシュレートを実現できるように更新されています。また、マイニング設備の効率化は、電力消費量の削減に直結する要素でもあります。
マイニングはエネルギーの無駄遣いではない!
マイニングには多くの企業が参加し、大量の電力を消費することは事実です。
しかしマイニングという作業は、Bitcoinネットワークの安産性を高め、ハッカーによる攻撃やマネーロンダリングなどの犯罪を防ぐためにも必要なことです。そこで使用される電力は、ネットワークを維持するために必要なエネルギーだと言えるでしょう。
消費電力の59.5%は持続可能なエネルギー
Tesla社のCEOであるイーロン・マスク氏と、Microstrategy社のCEOマイケル・セイラー氏が主催するBitcoinマイニング委員会が示した数字では、世界中のBitcoinマイニング企業が消費する電力のうち、59.5%は持続可能なエネルギーによるものだということです
この数字はさまざまな産業と比較しても、極めて高いと言えます。
仮想通貨エコシステムを保つために必要な仕組み
2021年5月に中国国内でのマイニングが禁止されたことで、マイニング企業はよりクリーンなエネルギーを提供する、アメリカやアイスランドなどに拠点を移しました。エネルギー効率の面でも、環境への負担は減少したと考えられます。
一方で、我々の身近にある施設に目を向けてみましょう。
全世界の金融機関で稼働するATM、さらに小売店のレジに接続されたPOSシステムなど、これらが1日にどのくらいの電力を消費するか、真面目に計算する人はいないでしょう。しかもこれらのシステムは、利便性向上のため常に拡大されています。
「マイニングで海の水が沸騰する」という例えばなしがありますが、単なる根拠のない俗説であることが分かるでしょう。Bitcoinのマイニングはエネルギーの浪費ではなく、仮想通貨エコシステムを健全に保つために必要な仕組みなのです。
©NFTゲームプレス All rights reserved.
※当サイトに掲載しているゲーム画像の著作権、商標権ならびにその他の知的財産権は、当該コンテンツの提供元に帰属します
※当サイトに掲載されているデータ、画像等の無断使用・転載・変更・改ざん・商業的利用は固くお断りします