EUのデジタル資産構想に動きあり!仮想通貨規制とCBDC推進を同時に表明
1月の第4週に入ってすぐに、EU(ヨーロッパ・ユニオン)がデジタル資産全般に関わる今後の方針を発表しました。
暗号資産(仮想通貨)に対する規制強化と、CBDC(中央銀行デジタル通貨)発行の推進についてですが、ここではその内容を大きく3つに分けて、EUの狙いを概略的に紹介します。
※1ドル=130.2円/1ユーロ=141.9円で換算
金融機関の仮想通貨保有を規制
EU圏内の銀行の仮想通貨保有を制限
欧州議会(European Parliament)の経済金融問題委員会(ECON)は、EU圏内の銀行が仮想通貨を保有することを厳しく制限する決定を下しました。
この決定には、Bitcoin(ビットコイン)やEthereum(イーサリアム)などの貸し付けに関して、EUがより強固なルールを提示する前に、国際的な規制基準の動きを探る狙いがあるようです。
また欧州議会のスポークスマンによると、今後各銀行は保有する仮想通貨と同額のユーロを準備金として保持することが義務づけられます。それにより、仮想通貨の流入による金融システムの不安定化を防ぐことが狙いです。
欧州金融市場協会は規制対象の幅広さに懸念
伝統的な金融組織を代表する欧州金融市場協会(AFME)は、今回の規制対象の幅広さに懸念を示しています。
現在法的な仮想通貨の定義がないため、暫定的な規制を適用すると、トークン化された有価証券や仮想通貨以外のデジタル資産にも制限が及ぶ可能性があります。そのためAFMEは、今後立法の段階に至ってからこの問題を審議することを求めています。
仮想通貨に対する課税の強化
欧州議会は、仮想通貨に対する課税についても独自の見解を示し、EUの年間予算1,700億ユーロ(約24兆1,200億円)の原資を捻出するため、仮想通貨資産への課税を提案しています。
予算委員会では1月16日に、投資家の資本利得(キャピタル・ゲイン)、トランザクション処理やマイニングによる利益にも課税する草案が公表されました。
2022年12月には欧州委員会(European Commission)が、仮想通貨投資家と課税当局との間での詳細なルール作りを提案しましたが、その方法や課税額についてはEU諸国の判断に任されたままです。
課税案は2月2日までに再調整予定
具体的な課税案は、今後2月2日までに再調整される予定ですが、欧州議会の705人の立法担当者は課税法に対しては限定された権限しか持ちません。
通常は、EU圏27国の中央銀行総裁による全会一致で採決されます。そのため課税案の詳細については、今後の動きを見守ることになるでしょう。
ただし、欧州中央銀行(European Central Bank)のメンバーによると、課税案にはBitcoinのようにPoWシステムを使用する仮想通貨に対して、環境への影響を考慮した課税制度も含まれる可能性があるということです。
デジタル・ユーロ構想の推進
仮想通貨に対する規制と並行して、EUは独自のCBDCであるデジタル・ユーロ構想を推進しています。この点に関しては欧州委員会が公式サイトで、5月までにはデジタル・ユーロに関する法案を公表し、バーチャル世界に関する戦略立案に着手することを明らかにしています。
欧州中央銀行は、依然CBDCの発行を決定していませんが、委員会はデジタル・ユーロを法定通貨として認める新法の制定と、マネーロンダリング規制法の制定を示唆しています。
その法案は委員会によって5月24日に公表される予定で、デジタル・ユーロの最適なユースケースと使用すべきテクノロジーについては、EUと欧州議会に責任があるとされています。
委員会の主導に対して懐疑的な2つの意見
立法担当者の中には、委員会の主導に対して懐疑的な意見もあります。
1.デジタル・ユーロの保有
1つは、消費者の観点からのもので、決済システムが不完全な状態で、デジタル・ユーロを保有することに意味があるのかという疑問です。さらにデジタル・ユーロが、ブロックチェーンのポテンシャルを引き出すことができるのかという疑問もあります。
2.市場の独占に対する懸念
1つは、ヨーロッパのデジタル化構想に伴い、Meta(旧Facebook)などの巨大企業が進出し、市場を独占してしまうことに対する懸念の声もあります。CBDC構想は世界各国で準備が進んでいるものの、まだ解決すべき多くの課題があるようです。
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