動き出した産業用メタバース!通信業界大手ノキアが提供する新サービスとは?

動き出した産業用メタバース!通信業界大手ノキアが提供する新サービスとは?

北欧フィンランドに本社を置くNokia(ノキア)は、モバイル機器や通信ソフトの開発を手掛ける、世界的に知られた通信産業界の最大手企業です。

そのNokiaが、遠隔地間を結んで業務をサポートする、産業用メタバースの開発を本格化させています。その最新の取り組みをレポートします。

※1ドル=131.7円で換算

ドイツとオーストラリアを結んだビール開発

ノキア

2022年、Nokiaは新たに2つの研究所を開設して、本格的にメタバースの開発を始めました。その手始めとして、オーストラリアのシドニー工科大学と提携し、5Gの通信サービスを使った小規模ビール醸造所の研究を進めています。

この研究ではAR(Augmented Reality:拡張現実)を使い、シドニー工科大学のビール醸造研究所と、ドイツのドルトムント大学にある、それとまったく同じ双子の研究所とを結びます。それぞれの研究員は、完全に同じ環境の中でビールの醸造実験をするわけです。

そこではビールの醸造に関するジョイント実験が行われ、それぞれの研究者は製造工程、温度、タイミング、容量、レシピなどのデータを変更しながら、完全に同一の条件で研究を進め、それをメタバースにフィードバックできます。

さらに双子の研究所それぞれで醸造シミュレートを行い、実際にメタバースの中でビールを完成させることもできます。

セスナのバーチャル操縦アシスト

南オーストラリアでは、セスナの操縦者をアシストする技術開発に、Nokiaがメタバースを提供しています。Nokiaはバーチャル・セスナを所有する企業と提携し、目の前にセスナがありインストラクターが同乗するような仮想空間を作り出します。

シミュレーションの操縦者は、Microsoft HoloLens(ヘッドセット型のARコンピュータ)を装着して、5Gの通信サ-ビスを介してセスナの操縦方法を学ぶことができます。

さらに広がる産業用メタバースの可能性

2月はじめに開催された世界経済フォーラム(World Economic Forum)において、NokiaのCSTO(最高戦略技術責任者)であるニシャント・バトラ(Nishant Batra)氏は、メタバースは消費者マーケットよりも、産業界に急速で多大な影響をもたらすだろうと発言しました。

バトラ氏は世界経済フォーラムに先立ち、「メタバースを使えば、実際の環境と同様のバーチャル空間を創出し、例えば港でのコンテナ積み下ろしを効率的に進めることができます。

また航空機製造メーカーでは、実際に機体を製造する前にメタバースを活用して、エンジンや胴体の構造をシミュレートすることもできます」として、実際にNokiaが関わっている事例について、特別なコラムを寄稿しています。

ほかにも彼の見解では、消費者向けメタバースの実用化は早くとも2030年ごろになるとのことです。確かにウェアラブル端末などを見ると、メタバースの技術はまだ確立していません。

Meta(メタ)のQuest 2(クエスト2)VRヘッドセットなどを、数時間装着することは現実的ではなく、なるべく早くより快適な装置を開発する必要があるでしょう。その一方でバトラ氏は、産業用メタバースに投下される資本が、2024年には現在の5倍にまで拡大するとも予測しています。

さらに今後のメタバースの発展については、ブロックチェーンとの融合が重要なカギになるとした上で、「ブロックチェーンは資産の所有権を明らかにしたり、知的財産権を保護するためには欠かせない技術になるでしょう。

しかし現状では決済や資産の移動が主な役割で、メタバースに必要不可欠な技術だとは思いません」という独自の見解を述べています。

Nokiaはこれから、未来に向けて積極的にメタバースに関わってゆくでしょう。しかしブロックチェーン技術の導入はまだ先のことと見ており、当面はARの技術を中心にメタバースの開発を進めるようです。

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