仮想通貨データアグリゲーターの最新レポート！2023年第一四半期の市場動向は？

暗号資産(仮想通貨)データアグリゲーターの最大手であるCoinGecko(コインゲッコー)とGlassnode(グラスノード)が、共に市場動向に関する最新レポートを発表しました。どちらも2023年、Bitcoin(ビットコイン)が幸先のよいスタートを切ったことを評価しています。

※1ドル＝133.1円で換算
※データアグリゲーター:仮想通貨に関するあらゆるデータを収集し、それを分析して提供するサービス。その最大手はCoinMarketCap(コインマーケットキャップ)。

CoinGeckoの第一四半期レポート

4月18日に発行されたCoinGeckoのレポートによると、2023年の第一四半期にBitcoinは72.4%の伸びを見せ、NASDAQの15.7%や金価格の8.4%を大幅に上回りました。主要な投資資産はいずれもプラスの動向ですが、原油価格は6.1%ほどダウンしています。

仮想通貨市場全体も、前年に比べて大幅な回復傾向を見せており、時価総額は2022年末の8,290億ドル(約111兆860億円)から48.9%増加して1兆2,000億ドル(約160兆8,000億円)にまで達しています。

DeFiの分野も顕著な伸びを見せ、資産価値にして296億ドル(約3兆9,700億円)増加しました。特にリキッド・ステーキングのガバナンストークンは、2023年初から210%の伸びを示しています。

リキッド・ステーキングの伸展には、Ethereum(イーサリアム)のシャペラ・アップグレードが大きく貢献し、多くの資産がリキッド・プールに流入しました。レポートによると、リキッド・ステーキングは現在DeFiにおける第三勢力にまで拡大しています。

一方でトップ15にランクするステーブルコインは、全体で時価総額が62億ドル(約8,300億円)も減少しました。

CoinGeckoはこの原因を、Paxos(パクソス)がBUSD(バイナンスUSD)の運営から手を引いたことと、シリコンバレー銀行の破綻問題で、USDC(USDコイン)のデペグが発生したことと分析しています。

ステーブルコインでは、USDT(テザー)が時価総額を136億ドル(約1兆8,200億円)増やした反面、USDCは26.9%、BUSDは54.5%も時価総額が減少しました。

NFTの取引総額は、2022年の第四四半期から68%の伸びを見せ、45億ドル(約6,000億円)にまで回復しました。その中で新興のBlur(ブラー)が躍進して、NFT市場シェアの71.8%を占めるまでに至っています。

Glassnodeは最新のレポートで、「percent supply in profit(パーセント・サプライ・イン・プロフィット)」と呼ばれる指標を用い、Bitcoinの動向を分析しています。

この指標はそれぞれの通貨の、流通に関するオンチェーン履歴と、最後に移動した時点の価格をチェックし、それを現在のBitcoinの数値と比較することで、その通貨が利益を生み出しているかどうかを判断するものです。

この指標が高くなるほど、投資家は売りの動きを強め、蓄積した資産から利益を得ようとします。一方で指標が低くなると、大量の供給が損失につながる恐れがあり、投資家による売りは弱まります。

Glassnodeは、この指標と7日間EMA(指数平滑移動平均線)を組み合わせたチャートを公開しています。それによると、2022年のFTX破綻のタイミングで、Bitcoinに関するこの指標は44.7%という最低の数値を記録しました。

しかし2023年になると、この指標は目覚ましい回復を見せ、77%という数値に達しています。これは市場に供給されているBitcoinの77%、およそ1,480万BTCが利益を上げているということです。

つまり2023年初と比較して、現在利益を生み出すBitcoinが620BTCほど増加しているというわけです。この急上昇は、これまでに供給された大量のBitcoinが、現在の価格レベルよりも下にあり、売れば利益を出せることを意味します。

歴史的に見ると、投資家が大きな損失を被ってお手上げ状態になった時、市場ではボトムが形成されます。さらに、お手上げ状態の投資家が保有する資産は、まだ強いモチベーションを維持している投資家の手に渡ります。

直近のトレンドからすると、現在このようなデトックス作用が市場に働いている状況であり、多くの投資家は購入価格のベースを、まだかなり低めの弱気市場価格に置いていることが推測できます。デトックス効果が現れるようになると、市場はさらに活気づくかもしれません。