どうなるアメリカの仮想通貨市場?強硬姿勢を崩さない米国証券取引委員会

どうなるアメリカの仮想通貨市場?強硬姿勢を崩さない米国証券取引委員会

暗号資産(仮想通貨)を発行するRipple(リップル)社や、仮想通貨取引所のBittrex(ビットレックス)を提訴するなど、米国証券取引委員会(SEC)は業界に対する強硬姿勢を一段と強めています。

世界一の経済大国で何が起こっているのか?そのカギを握る人物と、仮想通貨市場に広がる波紋についてレポートします。

※1ドル=134.8円で換算

米国下院で行われた公聴会

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4月18日に米国下院金融サービス委員会は公聴会を開き、SECの委員長であるゲーリ-・ゲンスラー(Gary Gnesler)氏を証人として召喚しました。

ゲンスラー氏はこの席で、SECは今後も国内の仮想通貨プラットフォームを、厳しい法の監督下に置き続けることを改めて証言しました。

下院議員のパトリック・マクヘンリー(Patrick McHenry)氏はこれに対して、SECの強硬な姿勢は、アメリカから仮想通貨関連企業を締め出し、技術革新を妨害する可能性があると指摘しています。

取引所に選択肢はない

ゲンスラー氏はデジタル資産を「極めて投機的」と定義づけた上で、自身はいかなるデジタル資産も所有したことはないと主張しました。しかし彼がSECのトップに立った時点では、ゲンスラー氏は仮想通貨部門に興味を抱いており、否定的な姿勢を見せてはいませんでした。

18日の下院金融サービス委員会では、現在のゲンスラー氏の姿勢に対してマクヘンリー氏が、「あなたのやり方では、革新的技術は海外に流出してしまい、アメリカの競争力は危機的状態になってしまう」と強く非難しています。

またマクヘンリー氏は、SECは力による規制を強行するべきではなく、現在のやり方は不十分で持続可能性に欠けているとした上で、「あなたは仮想通貨関連企業が、自分たちが法規制の対象になると知らないことを、彼らが法に従っていないと見なして罰則を科している」と述べ、SECの規制に疑問を呈しています。

これに対してゲンスラー氏は、アメリカの仮想通貨取引所が、法に従う方法を知らないはずがないとして反論しました。さらに、かなり以前から明確な法規制の枠組みが存在しており、取引所は単なる市場の仲介者ではなく、法規制に従うべきであることを強調しました。

証言の席でゲンスラー氏は、「我々はすべての仮想通貨部門が、法規制を理解していると判断している。彼らが取引サービス、売買サービス、セキュリティトークン・サービスを提供するなら、法に従わなければならない。彼らに選択肢はない。全般にわたって彼らはコンプライアンスを順守する必要がある」として、SECの姿勢を変えるつもりがないことを明言しています。

高まる不満と広がる波紋

下院金融サービス委員会においてゲンスラー氏は、自身は個人的にBitcoin(ビットコイン)やその他の仮想通貨を所有したことは一度もなく、所有するデジタル資産は「銀行口座」と「証券取引口座」だけだとも主張しています。

彼はSECの委員長選挙期間、少なくとも仮想通貨に敵対する姿勢は見せていませんでした。それどころか、2021年の夏以降、仮想通貨市場に対して好意を抱いていたことも認めています。

この点についてゲンスラー氏は、「私はテクノロジーに対しては中立的だが、仮想通貨に関しては3年間ほど教えると同時に教えられてもいる(業界について詳しいつもりだ)。

しかし投資家の保護については中立的ではない。もしも誰かが自己責任で投機をするとしても、彼らを詐欺から守るために、我々は使命を果たさなくてはならない」と証言しました。

強硬なゲンスラー氏に対しては、議会でも不満が高まっており、彼を解任してSECを再編する意見も出ています。一方で仮想通貨業界では、大手取引所のCoinbase(コインベース)やBybit(バイビット)などが、拠点をアメリカから別な地域に移転する動きを見せています。

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