目前に迫るイーサリアムのマージ、市場に与える影響は?

目前に迫るイーサリアムのマージ、市場に与える影響は?

いよいよ目前に迫ったイーサリアム(ETH:Ethereum)の大型アップデート「マージ(The Merge)」について、仮想通貨取引所「ビットフィネックス(Bitfinex)」のレポートを中心に、マージ直前の市場状況や注目すべきポイントを解説します。

※出典:Bitfinex

イーサリアムのマージとは?

イーサリアム

これまでにもイーサリアムは段階的にアップデートを行ってきましたが、今回のマージではコンセンサス・アルゴリズムがプルーフ・オブ・ワーク(PoW)から、プルーフ・オブ・ステーク(PoS)へと大きく変更されます。

マージは日本時間の9月15~16日に予定されており、この変更でイーサリアムが抱えていた、スケーラビリティの問題と環境問題との改善が期待されています。マージに伴って、イーサリアムのユーザーが行うことは特にありません。

オープン・インタレストで見るマージ直前の動向

暗号資産(仮想通貨)トレーダーが利用する指標の1つに、「オープン・インタレスト(未決済建玉/みけっさいたてぎょく:Open Interest)」があります。この指標を上手に活用すると、仮想通貨の値動きが予想できると言われています。

現在イーサリアムの先物市場でのオープン・インタレスト(以下OI)は、前週に90億ドル(約1兆3,020億円)を記録してから92億2,000万ドル(約1兆3,340億円)にまで上昇しています。
これは2022年4月にイーサリアムの価格が3,500ドル(約50万6,500円)を超えた時とほぼ同じレベルです。

そこからイーサリアムの価格は一時73%も下落し、現在も当時の53%マイナスで推移しています。一方でイーサリアムのOIは、8月以降たびたびビットコイン(BTC:Bitcoin)を上回るようになりました。

この投機的な動きの震源にあたるものは、特に今の弱気市場を考慮すると、イーサリアムのマージにあると考えてよいでしょう。

イーサリアムが分裂する可能性が浮上

ただし物ごとはそう簡単ではありません。マージではイーサリアムのネットワークが完全にプルーフ・オブ・ステークへと移行しますが、同時にハードフォークが行われ、イーサリアムPoWという別なネットワークが分岐する可能性があります。

プルーフ・オブ・ワークの存続を望むコミュニティが、マージ後にこのプロジェクトを実行すると言われているのです。

もしもイーサリアムPoWが稼働すると、マイニングを続けるマイナーから、イーサリアム保有者に対して、PoWトークンのエアドロップ(無償配布)が行われる可能性があります。これが実行されると、今後のイーサリアム価格にもかなり影響しそうです。

活発化しつつあるイーサリアムの取引

興味深い分析手法の1つに、イーサリアムの流通経路を追うという方法があります。それによりスポットと先物の市場からのデータを、より深く理解することが可能になります。

この流れを追うと仮想通貨全体のユースケースが把握でき、各ユースケース間での通貨の流れも分析できます。ブロックチェーン上で最も活発な流れは、複数のサービス間でのやりとりと、仮想通貨取引所の間での取引に見ることができます。

9月11日現在、取引所以外のサービスへのイーサリアムの流れは53万8,880ETHで、ここ56日間での最高値です。ここから読み取れることは、マージとイーサリアム2.0に関わるさまざまなステーキング・プロトコルが、完全に流動性を欠いた状態でマージに突入すると、需要ショック(突発的な需要の増減)を引き起こす可能性があることです。その反面ほとんどの資産は、個人もしくは取引所のウォレットで流動的な状態になるでしょう。

重要なことは、マージへの期待感から、イーサリアム取引での資産流出が流入を上回り続けている点です。価格が低下しているにもかかわらず、多額のイーサリアムが取引所から流出し続けているのです。

過去のデータの最大値では、7月7日に55万5,000ETHが取引所から流出しました。9月4日には47万6,000ETHが流出しましたが、これは3月以降で3番目に高い数値です。マージを直前に控えて、これらのデータにも大きな変化が見られるかもしれません。

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