量子コンピュータ実用化の脅威!仮想通貨システムは崩壊するのか?

現在業界が競って開発中の量子コンピュータが実用化されると、既存の暗号技術はすべて無効化されると言われています。
そうなると、暗号資産(仮想通貨)も安心して使えなくなるのでしょうか。その展望について、大手取引所ビットフィネックス(Bitfinex)の分析からレポートします。
※1ドル=154.3円で換算
量子コンピュータの現状
量子コンピュータ(Quantum Computer)とは、現在のコンピュータとは完全に異なる仕組みで処理を行う次世代コンピュータです。その原理は量子力学の応用にあり、実現すればコンピュータの世界に一大革命が起きると言われています。
これまでのスーパーコンピュータとはケタ違いの処理能力が可能になり、複雑な計算を極短時間でこなし、現在普及している暗号技術は瞬時に破られると予想されています。
ただし実用的な性能を確保するためには、最低でも1万量子ビット(Quantum Bits)以上の処理能力が必要であるのに対して、現時点では数百ビット程度が限界であり、それ以外にも解決すべき課題が多く、実用化にはまだ時間がかかると見られています。
量子コンピュータによる地殻変動
専門家の予測では、実用的な量子コンピュータの登場は、早くても2030年以降だということです。しかし各国の企業が開発にしのぎを削っており、予想を上回る早さで実用化が進むかもしれません。
量子コンピュータは、仮想通貨分野でも大いに注目されています。それは、仮想通貨の根幹をなす暗号処理システムが容易に解読されてしまうからです。
現在のビットコイン(BTC:Bitcoin)やイーサリアム(ETH:Ethereum)などの主要な仮想通貨は、楕円曲線暗号アルゴリズム(ECDSA)を基盤に構築されています。
しかし量子コンピュータはショア・アルゴリズムという新たな基盤により、簡単に仮想通貨のパブリックキーから、プライベートキーを生成できてしまうというのです。
もしも性能的に十分強力な量子コンピュータが登場したら、仮想通貨を支えるブロックチェーンなどのシステムは瞬時に解析され、ネットワーク上の資産は完全に無防備な状態になる危険性があります。
事実上犯罪から自己の資産を守る方法はなくなり、仮想通貨の利用は頻繁にハッカーの攻撃にさらされることになるでしょう。資産を守るためには、ウォレットに隔離して凍結状態を続ける以外に有効な手段はなくなります。
量子コンピュータ時代の仮想通貨システムとは?
この将来的な脅威に対して、仮想通貨関連業界は指をくわえて見ているわけではありません。
大規模な誤り耐性量子コンピュータが登場した場合に備えて、現状のコンピュータと量子コンピュータの両方に有効な、数学的根拠に基づいた署名方法とキー交換メカニズムを開発中です。
その準備段階として、まずは仮想通貨ネットワークの詳細な分析、例えばキー生成、署名方法、ハッシング、アドレス形式、ネットワーク間のメッセージルールなどの見直しを進めています。量子コンピュータに対して、どこが脆弱なのかをピックアップするためです。
同時にパブリックキーや、ウォレットの扱い方を刷新する計画も進んでいます。また、暗号化のベースになる署名方法を、既存の方式と量子コンピュータ対応のハイブリッド型にする取り組みも進行中です。
しかし量子コンピュータが実用化された場合、どのような影響が及ぶのかは依然として予測の域を出ていません。技術面だけの対応ではなく、社会的かつ政策的な対応も必要になるでしょう。
もしかすると、仮想通貨業界全体での新暗号基準の策定や、プロトコルの再編、ウォレットシステムなどの大規模な再構築が必要になるかもしれません。
量子コンピュータの実用化はいつになるのかはっきりしませんが、仮想通貨業界は将来の脅威を見越して、すでに動き始めているのです。
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