Binance vs FTX 経営危機と買収をめぐる攻防の結末は?
業界最大手の暗号資産(仮想通貨)取引所の1つであるFTXは、親会社でベンチャー・キャピタルのAlameda Research(アラメダ・リサーチ)の財務資料リーク問題を受けて、現在非常に厳しい状況に置かれています。
さらにFTXをめぐっては、ライバルのBinance(バイナンス)も資金提供をしており、この2大取引所の動きが、現在仮想通貨関係者の注目を集めています。今回の記事では経営危機に陥ったFTXと、それに対応するBinanceの動きを時系列で解説します。
※1ドル=146.2円で換算しています。
FTXがBinanceによる買収に合意
財務状況が外部にリークしたことが事の発端
事の発端はAlameda Researchの財務状況が外部にリークしたことで、それを危惧する投資家がFTT(FTXトークン)を一斉に売りに出し、さらにBinanceが保有するFTTをすべて売却すると発表したことで、FTTの価格は短期間で80%以上も大幅に下落しました。
リークした財務資料によれば、Alameda Researchの貸借対照表には、多額の非流動性FTTとSolana(SOL:ソラナ)トークンが記載されていました。
2022年6月30日時点で、こうした保有資産のうち36億6,000ドル(約5,350億円)がロックされていないFTTで、21億6,000ドル(約3,160億円)が担保としてのFTT、さらに12億ドル(約1,750億円)がSolanaトークンでした。
FTXからBinanceに買収支援を要請
この状況下でAlameda ResearchのCEO(最高経営責任者)Sam Bankman-Fried(サム・バンクマン・フリード)氏と、BinanceのCEOであるCZ氏(Changpeng Zhao:チャンポン・ジャオ)との間で、BinanceがFTXを買収するという話が持ち上がり、一時は合意に至ったというニュースが流れました。
CZ氏によると、FTXの方から買収による支援の要請があったようです。
FTXはすべての出金を停止
極めて遅いペースでは出金できていた
11月8日になると、FTXは法定通貨を除くすべての出金業務を停止しました。ただし一部では極めて遅いペースで出金が続いていたようです。
引き出された資金は60億ドルにも及ぶ
この時点で Bankman-Fried氏は、Binanceと法的拘束力のない買収合意に至ったため、FTXが保有するすべての資産は元の価値のまま保護される、と自身のツイッターで述べています。
しかしその直近数日間でFTXから引き出された資金は、トータルで60億ドル(約8,770億円)にのぼると見られています。
Binanceが一転して買収案を却下
11月10日にFTXの買収を見送ったと発表
企業の買収にあたっては、「デュー・デリジェンス」と呼ばれる手続きで、買収対象企業の財務状況を詳細に調査します。
Binanceが買収を決定するのは、このデュー・デリジェンスの後と見られていましたが、11月10日のBinanceニュースにおいて、FTXの買収が見送られたという発表がありました。
FTXの問題は手に負えないと判断
Binanceによると、当初はFTXの顧客を保護し、さらに仮想通貨市場全体への影響を最小限に留めるため、FTXの支援を検討していたものの、問題の大きさがBinanceの手に負えるレベルではないとして買収をあきらめたということです。
この発表を受けて、FTTの価格はさらに32%も下落しました。
FTXは一段と危機的な状況に
出金と預金に関して注意喚起が出される
FTXは公式サイトにおいて、現在すべての出金プロセスを停止していることと、預金を行わないようにという顧客に対する注意喚起を表示しています。
現在公式サイトは正常に機能していますが、FTXに関連するサイトでは停止中のものもあるようです。さらにAlameda Researchの公式サイトは非公開になっているようです。
投資の取りやめなどにより危機は増加
FTXの危機にさらに追い打ちをかけるように、アメリカを代表するベンチャー・キャピタルのSequoia Capital(セコイア・キャピタル)が、FTXに対して行うはずだった2億1,350万ドル(約312億1,400万円)の投資を取りやめることを発表しました。
その他の投資会社にも危機感が広がっており、市場ではFTXが破産申請をするという憶測が高まっています。さらに今後はアメリカ当局の、法的な調査が入ることも予想されています。FTXとAlameda Researchは、非常に厳しい局面を迎えることになるでしょう。
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