一時の熱狂はどこへ?縮小を続けるNFTマーケットの現状

一時の熱狂はどこへ?縮小を続けるNFTマーケットの現状

一時は仮想通貨業界に大ブームを引き起こしたNFT(非代替性トークン)ですが、現在は弱気市場とともに熱気が薄れてきているようです。その現状をつかむために、ここ数ヵ月のトレンドを分析しながら、NFTに関連する新しい動きについても紹介します。

半年ほど続く市場規模の縮小

NFTの購入方法

2021年7月から2022年5月にかけて、NFTマーケットの売上高は、コレクターがデジタル・アートを売買した利益により空前の活況を呈しました。

しかし2022年3月ごろからの弱気市場のあおりを受けて、NFTを含めた暗号資産(仮想通貨)業界は大きなダメージを被り、その影響は第三四半期の現在まで続いています。

結果的にNFTのマーケット規模は10億ドル(約1,404億円)を割り込み、クリプトスラム(CryptoSlam)のデータによると、8月には7億2,678万ドル(約1,020億400万円)にまで縮小しました。

売上高減少の要因は、バイヤー数の減少と、トップ10にランクされるNFTコレクションでの平均売上額の下落です。以下に主要なNFTコレクションの、月間売上高をリストアップしてみます。

主要なNFTコレクション月間売上高一覧
・Bored Ape Yacht Club:5,800万ドル(約81億4,300万円)/バイヤー数263
・Mutant Ape Yacht Club:2,580万ドル(約36億2,200万円)/バイヤー数744
・CryptoPunks:2,500万ドル(約35億1,000万円)/バイヤー数103
・Otherdeed:2,200万ドル(約30億8,900万円)/バイヤー数44,558
・NBA Top Shot:1,500万ドル(約21億600万円)
・Axie Infinity:570万ドル(約8億円)/バイヤー数44,558

このうちOtherdeedの5月の売上は9億4,300万ドル(約1,323億9,700万円)であり、Axie Infinityの2021年8月は8億4,800万ドル(約1,190億5,900万円)、CryptoPunksも2021年に6億7,900万ドル(約953億3,200万円)を記録しています。その金額と比較すれば、現在の衰退ぶりが際立つでしょう。

その他のコレクションも同様で、ピーク時の売上高に比べると数十分の一程度にまで縮小してしまいました。

現在の市場規模を分析した多くのアナリストは、仮想通貨の金融部門で、NFTの足元が崩れ始めていることを指摘しています。ただし、7月に比べれば8月の売上高は7,950万ドル(111億6,200万円)ほど上昇しました。

前述した主なNFTコレクションでは、現在495,666のバイヤーが平均で123ドル(約17,270円)を出費して売上高に貢献しています。しかしNFTマーケットのピーク時と比較すると、バイヤー数は19%、平均購入額は87%も減少しました。

主要なNFTマーケットプレイスの売上高も減少が続き、8月は総額で6億1,341万ドル(約861億2,300万円)止まりでした。業界最大のオープンシー(OpneSea)が約5億100万ドル(約716億円)で、大手マジック・エデン(Magic Eden)も6,631万ドル(約93億1,000万円)です。

最新の統計からすると、デジタル・コレクションに対する否定的な市場心理が、NFTマーケットの縮小につながっていると考えられています。

NFTの可能性に賭けるポジティブな動き

NFTとは

このようにNFTを囲む状況が悪化する中で、その反対にNFTをビジネスチャンスに変えようとする前向きな動きもあります。どちらも日本のすぐ隣り、韓国からのニュースですが、NFTをテレビと融合させるというユニークな試みです。

韓国の大手家電メーカーLGエレクトロニクスは、LG Art LabというNFTプラットフォームを開設しました。このプラットフォームを搭載したテレビがあれば、ユーザーは自身が購入したデジタル・ワークを超高画質で鑑賞することができます。

同じように韓国最大手のサムスン電子も、最新のマイクロLEDテレビを発表しましたが、NFTプラットフォームを通じて、NFTのデジタル・アートワークを楽しむことができます。

どちらもNFTアートが持つ本来の美しさを再現することが目的で、ユーザーはパソコンやスマートフォンのような簡易的なディスプレイを通してではなく、映像再生に特化したテレビを通じて、NFTアートを鑑定し、購入したり取引したりすることができます。

こうした新しい動きが、今後のNFTマーケットにどのような影響を与えるのか、じっくりと見守る必要があるでしょう。

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