マイクロストラテジーの新戦略！企業向けライトニングネットワーク拡大構想

マイクロストラテジーの新戦略

MicroStrategy(マイクロストラテジー)社の創業者で社長のマイケル・セイラー(Michael Saylor)氏は自身のツイッターで、企業向けBitcoin(ビットコイン：BTC)及びライトニングネットワークの普及に向けたプランが進行中であることを公表しました。

※1ドル＝137.6円で換算

業界でも有名なビットコイニスト

セイラー氏によるとMicroStrategyは、さまざまな企業とその顧客がライトニングネットワークを利用する、革新的な新システムを構築中だということです。

この構想は、例えば2億人の顧客を持つAmazonのようなビジネスで、迅速にしかも安全に全顧客に対してライトニング・ウォレットを提供するように、極めて大規模なプロジェクトになるようです。

MicroStrategyは2020年に大量のビットコインを購入し、長期的な内部資産としたことで注目されました。現在同社はおよそ140,000BTCを保有していますが、その額は約37億ドル(約5,090億円)と見積もられています。

またセイラー氏自身も、Bitcoinに対して多大な関心を持ち、さまざまなシーンでBitcoinをアピールしています。いわゆる生粋のビットコイニストなのです。

MicroStrategyの一大構想は、業界を越えたすべての企業の顧客に、ライトニングネットワーク・ウォレットを提供することです。

さらに同社は、すべての企業がバランスシート上に、現金と同様にBitcoinを計上する将来設計を描いています。これはすべての企業が、資産としてBitcoinを保有することを意味します。

同時にMicroStrategyは、同社が現在開発中のBitcoinベースの利益還元システムも、各企業に対してPRしています。

また、実際にBitcoinとライトニングネットワークを採用する手順と、どのような内部規制が必要になるかを説明する、オープンソースのドキュメントもすでに公開中です。

このドキュメントでは、Bitcoin商品、サービス、資産保有の概要を説明し、さらにBitcoinの戦略的優越性、問題回避と独立性の確保、将来的な資産形成の可能性についても言及しています。

その一方でMicroStrategyは、顧客管理クラウドサービスのSalesforce(セールスフォース)や、動画マーケティング・プラットフォームのWistia(ウィスティア)など、既存のサービスとの融合も進めています。

しかも開発した技術に関する知識を広め、その知識をもとにほかの企業が、同様の戦略や方針を自由に活用できる仕組みづくりにも力を注いでいます。

もちろん、MicroStrategyは他社のためにボランティアをするわけではありません。このタイミングでの新プロジェクト推進は、Bitcoinを基盤にした金融サービスで、一気にビジネスを拡大する戦略の現れです。

この戦略には、Bitcoinの次の半減期も関わっています。過去の事例から半減期には、市場がかなりの強気傾向になり、Bitcoinの価格は上昇します。

その時には多くの企業がMicroStrategyの戦略に乗せられ、同社の商品やサービスを採用し、MicroStrategyは過去にないほどの成功を収めることになるでしょう。

しかしMicroStrategyの戦略には不安要素もあります。1つは、いくつかの地域で規制をめぐる状況が変化しており、暗号資産(仮想通貨)への投資を妨げていることです。

もう1つは、エコノミストが指摘するように、世界経済の悪化が懸念される中で、いくつかの主要国でインフレ回避による景気後退が起きる可能性があることです。2023年後半に景気後退が起こり、半減期前のBitcoin価格を直撃する可能性は否定できないのです。

MicroStrategyのBitcoin戦略は、市場規模のさらなる拡大を狙ったものであり、システムがローンチした時に、同社のウォレット、インフラ、そしてサービスがどれほど注目されるか、業界も興味深く見守っています。

ただし歴史的に見ると、Bitcoinをベースにした大型ビジネスは期待外れに終わることが多く、高額な手数料がさらに事態を悪化させるリスクもあります。MicroStrategyの、そしてセイラー氏の経営手腕が問われるところです。