仮想通貨界の次世代リーダーを狙う!アジアの金融王国シンガポール
シンガポールは世界でもトップクラスの伝統的金融(TradFi)中心地であり、現在はフィンテック分野におけるアジアの中核でもあります。
さらに近年は世界中から資産が流入しており、シンガポール当局は明確な規制の枠組みを構築して、暗号資産(仮想通貨)分野でも世界トップの座を狙っています。
※1ドル=149.3円で換算
金融部門での強固な市場基盤
シンガポール共和国の面積は東京23区とほぼ同程度であり、人口はおよそ560万人という東南アジアの小さな国です。しかし伝統的金融では世界的に有名であり、現在アジア地域のフィンテック資金の実に59%がシンガポールに集中しています。
同国は実際の社会環境下で新しい金融商品やサービスの開発を進めるため、フィンテックに関する包括的な規制の構築に取り組んでいます。
多くの仮想通貨関連企業や組織も、この地でビジネスを成長させることに可能性を見出しています。特にこの国の税制は、仮想通貨市場拡大に非常に有利であると認識されています。
シンガポールではキャピタルゲイン(資本利得)には課税されず、仮想通貨トレーダーは収入のほとんどを手元に残すことが可能です。そのため国内の金融プロの半数以上が仮想通貨を保有しているのです。
しかしシンガポール当局は、仮想通貨取引の推進は第一目標ではないという見解です。2022年のシンガポール・フィンテック・フェスティバルにおいて、当時シンガポール金融管理局(MAS)長官だったラビ・メノン(Ravi Menon)氏はこう述べています。
「我々が仮想通貨ハブの役割を果たすことが、プログラム管理可能なお金の実験をすることや、さまざまなユースケースでデジタル資産を採用すること、さらに金融取引における効率性を高めリスクを減らすため、世界中の現物資産をトークン化することにつながるのなら、進んで仮想通貨ハブになりたい」
ところがその一方では、「仮想通貨ハブが自身の目的のために取引や投機を行うのであれば、我々は仮想通貨ハブになることを望まない」という強い意向を示しました。
確固たる規制の枠組みづくり
シンガポールは極めて早い時期から仮想通貨規制に興味を持ち、Bitcoin(BTC:ビットコイン)という言葉が社会に現れるかなり前から、伝統的金融に対する規制を進化させ、将来のデジタル資産に対応するための基盤づくりを進めていました。
2001年の証券先物法では、証券とデリバティブ業界の活動と制度が規制されましたが、現在この法律の範囲は証券やセキュリティトークンの定義に合致する仮想通貨にまで及んでいます。
2019年の決済サービス法では、同国内の決済システムや決済サービスのプロバイダーに対する規制が確立しました。その中にはBitcoinとEthereum(ETH:イーサリアム)、各種ステーブルコインも含まれていました。
その後デジタル決済サービスに対して、マネーロンダリングとテロリストへの資金供与の規制が強化され、2020年に公表された「金融部門における包括新法に関する協議文書」では、金融活動タスクフォースの基準に適合させるため、バーチャル資産サービスプロバイダー規制が再構築されました。
シンガポール取引所規制(SGX RecCo)も金融管理局を支援し、コンプライアンスの要件が満たされるかどうかを確認するため、ICO(新規仮想通貨公開)を予定中でSGXのリストに載っている企業に対して協議を求めています。
一方ではシンガポール警察も、仮想通貨を悪用した詐欺などからコミュニティを守るための活動を強化しています。2024年2月にはサイバーセキュリティ庁(CSA)と協力して、ハードウェアウォレットを狙ったフィッシング攻撃への注意勧告を行いました。
このようにシンガポールでは、伝統的な金融部門で培った規制の仕組みを発展させながら、強固で透明性の高い仮想通貨規制も構築しています。今後さらに安全な取引環境が整備されれば、世界でも有数の仮想通貨市場が形成されるかもしれません。
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