仮想通貨取引所Kraken(クラーケン)が導入!プルーフ・オブ・リザーブとは?
FTXの破綻をはじめとする暗号資産(仮想通貨)業界の混乱の中で、各取引所はユーザーの資産を保証するための、新しい枠組み作りを始めています。大手取引所Kraken(クラーケン)もその1つで、「プルーフ・オブ・リザーブ」と呼ばれるシステムを導入しました。
※1ドル=139.4円で換算
金融におけるリザーブの重要性
金融システムにおけるリザーブ(保有資産)とは、顧客の預け入れ資産と1:1以上であることが保証され、顧客の求めに応じて全額が引き出せるものでなければなりません。
しかし、金融不安などで、一度に想定を超える引き出しが行われると、いわゆる「取りつけ騒ぎ(bank run)」を引き起こし、顧客は自身の資産を引き出せなくなり、経済にも大きな影響を与えます。
また、仮想通貨取引所でも起きる可能性があります。FTX問題のように顧客の資産引き出しが集中すると、取引所は資金を準備できなくなり、多くの場合引き出しは停止され、数週間から時には数年にわたって業務が滞ります。
この状況になると、顧客が預け入れたすべての資産を取り戻すことも難しくなります。つまり、安全な取引所の条件としては、顧客が預け入れた資産と同等か、それ以上の資金を常に準備しておく必要があるのです。
プルーフ・オブ・リザーブの概要
プルーフ・オブ・リザーブ(PoR:Proof of Reserve)とは、簡単に言うと取引所のリザーブを顧客に対して証明・開示するシステムです。
理論的には、顧客全員が同時に引き出しを行っても、それに対して取引所が正常に対応できる状態を表します。ただし、現状で法的に明確な定義が存在するわけではありません。
リザーブを証明するためには、通常取引所の資産と顧客の預入額で試算を行うか、オンチェーンのウォレットから金額を割り出しますが、こうした方法では取引所の透明性を完全に明らかにすることはできません。
Krakenでは、第三者による独立した会計検査としてPoRを導入し、検査した時点での取引所のリザーブを証明する仕組みを構築しました。このシステムにより、顧客の預入額を上回る資産のリザーブが証明され、顧客が検証可能な取引所の透明性と安全性が確保できるのです。
プルーフ・オブ・リザーブの仕組み
KrakenのPoRは、世界でもトップ25にランクする、独立した会計監査法人によって、年に2回定期的に実行されます。Krakenから独立した第三者が検査官になることで、顧客の資産と取引所のリザーブを、極めて高い精度で比較することができます。
具体的な仕組みは、監査法人=検査官は顧客の口座残高をデータ化し、「マークル・ツリー(Merkle tree)」と呼ばれる樹形図を構築します。これは集合化され正当性を確かめられた上で暗号化されたデータセットです。
マークル・ツリーでは、顧客の口座残高データは16進コードでハッシュ化(暗号化)され、2つのハッシュ・コードを繰り返しハッシュ化することで、最終的に1つのハッシュ・コードに統合します。これがマークル・ルート(Merkle root)と呼ばれるもので、検査官が入手したすべてのデータを表します。
Krakenのリザーブとマークル・ツリーを比較・検証では、安産性を高めるため、検査官にはKrakenからデジタル署名が与えられます。この仕組みにより、顧客の預入額を上回る資産のリザーブが証明され、顧客はいつでもそれを検証することが可能になるのです。
今後も広がるプルーフ・オブ・リザーブ
現在Krakenでは、BTC(ビットコイン)、ETH(イーサリアム)、USDT(テザー)、USDC(USDコイン)、XRP(リップル)、ADA(カルダノ)、DOT(ポルカドット)でPoRに対応しています。今後はさらに多くの仮想通貨にもPoRを適用する予定です。
プルーフ・オブ・リザーブにより、Krakenはすべての顧客資産を保証できることと、いかなる状況でも顧客からの引き出しに応じる体制にあることを証明できます。
Kraken以外にも同様の動きが広がっており、Binance(バイナンス)も独自のPoRを導入しました。今後はそれぞれの仮想通貨取引所に、PoR導入の動きが広まると考えられます。
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