自分の資産は自分で守る！今再び注目されるセルフ・カストディとは？

暗号資産(仮想通貨)取引所の連鎖的な破綻、ハッキングによる資産の流出など、仮想通貨業界では混乱が続いています。資産を守るためにセキュリティ対策を高めて信頼得る方法として、再び注目されているセルフ・カストディについて解説します。

※1ドル＝139.4円で換算

セルフ・カストディとウォレット

セルフ・カストディとは、自身が保有するデジタルもしくは物理的ウォレットに、取引所などから切り離して仮想通貨を保管する方法です。自分が保有するウォレットには、自分自身しかアクセスできません。

セルフ・カストディ・ウォレットには、直接仮想通貨が保管されているわけではありません。ウォレットにはプライベートキーとパブリックキーのほか、保有する資産に関するさまざまな情報が保管されています。

取り引きをする場合、ほかのユーザーにはパブリックキーが公開され、ウォレットの保有者に仮想通貨を送金できます。しかしプライベートキーがなければ、誰もウォレットから資産を引き出すことはできません。引き出しできるのは、ウォレットの保有者だけです。

通常のオンライン・ウォレットでも、ユーザーはプライベートキーを使って、保有する仮想通貨にアクセスします。しかし、ウォレットの管理組織も同じプライベートキーを持ち、取引所の破綻やハッキングの時に、ユーザーへ重大な被害を引き起こすリスクになります。

プライベートキーの役割とは？

プライベートキーとは、セルフ・カストディ・ウォレットに関連づけられた資産にアクセスするための、長い文字列と数字の組み合わせです。

このキーによりユーザーはブロックチェーン上で、自分の資産の所有権を証明するデジタル署名を生成できます。デジタル署名はプライベートキーを明かすことなく、仮想通貨に対する所有権を公開する役割を果たします。

プライベートキーとパブリックキーとはまったく別のものです。パブリックキーは、いわば銀行の口座番号にあたりますが、プライベートキーは、ユーザー以外誰にも知られてはいけない秘密のキーです。

セルフ・カストディ・ウォレットの種類

セフ・カストディ・ウォレットには、モバイル・デスクトップやスマートコントラクトなど、いくつかのタイプが存在します。

モバイル・デスクトップ・ウォレット

一般的にはスマートフォンや、ノートパソコンなどのハードウェアに保管されます。機器の紛失や故障により、プライベートキーが失われないように、定期的にバックアップをとるなどの対策が必要です。

スマートコントラクト・ウォレット

Ethereum(イーサリアム)などのスマートコントラクトを使い、NFTなどの資産を保管するウォレットです。通常はホスト・コンピューターにプライベートキーが保管されるため、強固なセキュリティ対策を施す必要があります。

ハードウェア・ウォレット

専用の小型ハードウェアに保管するタイプのウォレットです。現在最も安全な方法と言われており、専用のアプリを通じて保有する資産にアクセスできます。紛失に注意することと、公式に認定された製造メーカーから直接購入することが重要です。

ペーパー・ウォレット

原始的な方法に思えますが、セキュリティ・レベルはかなり高い方法です。プライベートキーとパブリックキーを紙に書き、劣化しないようにカバーしておけば、ハードウェア・ウォレットと同等の安全性を保つことができます。

セルフ・カストディの注意点

セルフ・カストディは、ユーザーのセキュリティ対策に比例して安全性も高まります。長期的に仮想通貨を保存する場合は、ハードウェア・ウォレットに厳重に保管することをおすすめします。

プライベートキーを生成するために使用したキーフレーズも、紛失しないように厳重に管理する必要があります。できれば複数のコピーを作り、それぞれ別の場所に保管するなど、可能な限りリスクを分散させておくと安心です。

自身の資産を自分で管理するセルフ・カストディは、確かにオンライン上での資産管理よりも安全と言われています。しかしセルフ・カストディだからと油断せず、自分自身でセキュリティ対策を高めておくことも重要なのです。