EUとアフリカ間で国際送金革命、ビットコインのライトニング・ネットワークが国際送金の常識を覆す！

国際送金には高額の手数料が必要なことは常識でした。しかし暗号資産(仮想通貨)の登場が、以前から国際送金に大きな変化をもたらすと期待されていました。

そして現在ある地域を中心に、仮想通貨を使った国際送金ビジネスが活発化しています。

※1ドル＝139.4円で換算

国際送金の課題を克服する仮想通貨

仮想通貨市場は依然弱気傾向にありますが、仮想通貨を積極的に活用する動きは衰えていません。例えば仮想通貨交換プラットフォームのCoinCorner(コインコーナー)と、金融系アプリを提供するBitnob(ビットノブ)は提携を結び、複数の法定通貨を利用できる国際間取り引きサービスを開始しました。

今注目されているのは、EUとアフリカを結ぶ国際送金ネットワークです。この地域で資金の移動を行うには、本来ならWestern Union(ウェスタンユニオン)のような国際送金サービスを利用する必要があります。

しかし国際送金サービスは複雑な認証過程を要し、多くの時間と高額の送金手数料がかかります。世界銀行(World Bank)の試算によれば、アフリカのサハラ南部地域への2020年の年間送金額は、およそ400億ドル(約5兆4,200億円)にも上るということです。それに比例して、多額の手数料もかかっているのです。

ところが現在、EUから任意のアフリカ諸国に対して、Bitcoin(BTC)のライトニング・ネットワークを使った国際送金が可能になっています。仮想通貨決済サービスを提供するStrike(ストライク)のアプリSend Globally(センドグローバリー)を使うと、法定通貨のEUユーロと英ポンドをアフリカ諸国に送金できるのです。

ライトニング・ネットワークとは？

ここで簡単に、ライトニング・ネットワークについて触れておきましょう。このシステムは、Bitcoinの処理速度とスケーラビリティを改善するために開発されました。

ライトニング・ネットワークでは、ブロックチェーンの外部に別な処理チャネルを設けることで、ブロックチェーンにかかる負荷を減らし、処理速度を大幅にスピードアップすることができます。この仕組みを国際送金に活用すると、高速で低コストの資金移動が可能になるのです。

EU～アフリカ間の新しい国際送金

ライトニング・ネットワークを利用すると、資金は自動的にBitcoinに交換され、高速で送金手続きを行ったのち、今度は送金先の国の法定通貨と交換され、そのまま銀行口座やモバイル・ウォレットに入金されます。

CoinCornerのCEO(最高経営責任者)ダニー・スコット(Danny Scott)氏は、「Bitcoinのボーダーレスな特性は、世界中で国際送金を行うツールとして非常に有効に機能します。何よりも送金が極めて高速に、しかも少ない手数料で可能な点が優れています」と述べ、国際送金サービスの大きな可能性に期待しています。

世界最大級の市場調査機関Statista(スタティスタ)によると、2021年のナイジェリアの国際送金額は世界でトップ10に入ったそうです。また世界銀行の報告では、同年のサハラ南部地域における国際送金額は、全世界の14.1%にまで達しているそうです。

しかしアフリカの80%に及ぶ地域では、地方銀行に送金サービスを提供する機関の活動が制限されています。この状況が、送金サービスを必要とする人々にとって高い障壁になっているのです。

仮想通貨の国際送金が拓く新アフリカ

アフリカでは仮想通貨の普及がホットな話題になっており、発展する経済に貢献すると同時に、仮想通貨の新しいユースケースにも貢献しています。
特に北アフリカでの仮想通貨市場の成長が目立ち、Chainalysis(チェイナリシス)の分析では、北アフリカから中央～東アフリカ地域が、現在世界で最も活発に成長を続けているということです。

今年の9月には、ナイジェリア政府は大手取引所Binance(バイナンス)とミーティングを行いました。そこでは、アフリカにおける仮想通貨とブロックチェーンに関わるビジネス推進のため、経済特区を設けるというテーマで交渉が行われたようです。

その後のChainalysisによるレポートでは、ナイジェリアやケニアに続いて、ガーナでも仮想通貨市場が広がりを見せているようです。経済的に遅れたイメージのあるアフリカが、仮想通貨に関しては、今世界で最もホットな地域として注目されています。