メタバース世界を警備する国際警察インターポールの取り組みとは?
インターポール(Interpol:国際刑事警察機構)は世界の195ヶ国が加盟する組織であり、本部をフランスに置き、国際的な犯罪への対応及び防止に取り組んでいます。
その国際警察は今、メタバース(metaverse)という新しい世界の中で、どのように犯罪を扱うべきかという課題に直面しています。その課題に対する取り組みについて、イギリスBBC放送のニュースからレポートします。
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危機感を強めるインターポール
近未来のメタバース社会では、人々は自身のアバター(分身)によって、オンライン上での活動が可能になると言われていますが、そのコンセプトや詳細は未だ確定していません。
インターポールは独自のバーチャル(VR)スペースを構築して、ユーザーがトレーニングやミーティングに参加できる場を提供しています。インターポールの事務総長ユルゲン・ストック(Jurgen Stock)氏は、最新技術に対応する国際警察の役割を力説しています。
ストック氏は、「近年の犯罪は高度に洗練され専門的になっており、すぐに新しい技術に適応して新たな犯罪を生み出してしまいます。
我々警察や立法者は、時に犯罪組織に後れをとってしまうことがあり、迅速な対応力の強化が求められています」と述べ、新しいテクノロジーに対する取り締まりの重要性を説いています。
さらにストック氏は、「過去の事例では、我々の対応が遅れた場合、社会的に使われている技術に多大な悪影響が及ぶことがありました。
そして現在すでに普及し始めているメタバースについても、犯罪組織が適応しつつあることを認識しなければなりません」とも述べています。
メタバースにおける犯罪とは?
2022年にBBCが行った調査では、VRゲームの中で言葉や性的なハラスメントが問題化しているという結果が出ています。さらに21歳の調査員のアバターが、VRで性的被害を受けた事例も報告されました。
ただしメタバース世界での犯罪を定義するためには、さまざまな課題があることも事実です。実際にインターポールの担当者の間でも、メタバース界での犯罪の線引きはかなり困難なようです。
例えばセクハラのケースにおいても、現実世界での犯罪定義を当てはめようとすると、メタバースでは問題が生じるケースが多いと言います。現状では定義があいまいな状況で、すでに犯罪が起きているものの、それに対応する確かな方法が存在していないのです。
現在インターポールでの最重要課題は、組織内でのこうした課題に対する認識を高めることです。法によってメタバース界での犯罪から人々を守るためには、インターポールのメンバーがメタバースについての知識を深める必要があるのです。
メタバースに対する規制と監視の強化
規制に関してメタバースの専門家は、現実世界で違法で危険な行為は、バーチャル世界でも同様に違法で危険と判断すべきだと述べています。しかし一方では、バーチャル世界特有の犯罪として扱わないと、はなはだしい困難が生じるリスクについても警告しています。
こうした問題についてインターポールのストック氏は、「今はワンクリックで証拠が別な大陸に飛んでいく時代です。サイバー犯罪は本質的に、国際犯罪の側面を持っています。
だからこそインターポールが重要なわけで、サイバー犯罪を当事国が扱うだけでなく、国際的な規制と監視のもとで扱う必要があるのです」と述べ、今後のメタバース世界の進展の中で、インターポールが果たすべき役割の重要性を強調しています。
インターポールは1923年(大正12年)に、その前身である国際刑事警察委員会が発足し、すでに100年という歴史を刻んでいます。そのインターポールが、メタバースという新しい世界に向けて、本格的な取り組みを始めようとしています。
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