イーサリアムをステーキングする4つの戦略｜仮想通貨のプロがシミュレート！

Ethereum(イーサリアム：ETH)の上海アップグレードが迫る中、暗号資産(仮想通貨)取引所Bybit(バイビット)のあるチーム・メンバーが、Ethereumのステーキングで利益を上げる4つの戦略をシミュレートしました。

今回は、投資家のキャラクターに合わせた、このユニークな4つの戦略を紹介します。ただし、これは投資に関するアドバイスではないので、あくまでも参考記事としてご理解ください。

※1ドル＝134.3円で換算

イーサリアムをステーキングする4つの戦略

イーサリアム

The Oxは、誰にも依存せず、ゆっくり着実に資産を増やしたい人向けの戦略です。この場合、Lido Finance(リド・ファイナンス)に、直接ステーキングしてみます。

Lidoは、最大の流動性ステーキング・デリバティブ(LSD：Liquid staking derivative)プロトコルであり、TVL(預かり資産)が95億ドル(約1,275億8,500万円)にも上る、仮想通貨市場で最大のDeFi(分散型金融)プロトコルでもあります。

LidoにETHをステーキングすると、投資家はstETH(ステークされたETH)トークンを受け取ります。これはレシートもしくは流動性デリバティブのようなもので、元本のETHに利息を加えて、いずれ投資家の手元に戻ることを保証します。

stETHは、オープン・マーケットにおいて、Lido以外のLSDプロトコルとの間でも取引可能で、ステーキングしたETHは信頼できるバリデータを介してプールされたのち、再び投資家に分配されます。

The Dogは、慎重派でありながら、活動的な人向けの戦略です。ここでは、ステーブル・コインのスワップに特化したDEX(分散型取引所)のCurve Finance(カーブ・ファイナンス)を利用します。

Curveは、ステーブル・コインのFrax(フラックス)と相性がよく、しかもFraxのプールは利率が高いというメリットがあります。Curveでは手持ちのETHをFraxと交換してステーキングし、frxETHと呼ばれるLSDを受け取ります。

高利率のFraxをCurveのプールで運用すると、最大5.5%の年換算利率(APY)を得ることが可能です。しかし、さらに利益を上げるため、受け取ったfrxETHをAladdin DAO(アラジンDAO)に預けます。すると8%のAPYを得られる可能性があるのです。

The Tigerは、最も洗練された戦略かもしれません。高額投資を行う経験豊かな投資家に向いている戦略です。基本的にはThe Dogと同じように、ETHをLP(流動性提供者)トークンに交換して、それを繰り返しながら利益を上げる戦略ですが、ここではリスクヘッジを重視します。

リスクを抑えるためには、ETHの価格が下落した場合を想定し、in-the-money(イン・ザ・マネー)のプット・オプションを購入して、オプション取引の権利所有者が権利行使した場合に、利益が出る状態にしておくことが重要です。

より安全性の高い戦略にするなら、Bear Call Spread(ベア・コール・スプレッド)を利用する方法もあります。

The Frogは、仮想通貨界ではよく知られた手法で、「ルーピング」を繰り返すことで元金を増やす、かなりリスクの高い戦略です。具体的にはETHで借入を行い、それで元金よりも多くのETHを購入するという手順を繰り返し、利益を徐々に大きくします。

調査した結果によると、stETHよりもより強くペグされたwstETHを預け入れ、同時にUSDCコインの借り入れができるイールドファームがありました。イールドファームでは仮想通貨を預けることにより、非常に高額の金利と手数料を受け取れる可能性があります。

ここで借り入れたUSDCを、さらに多くのwstETHに交換し、再び同じDeFiに預け入れします。この預け入れ～借り入れを5回繰り返すと、wstETHのAPYが13%にまで達します。ただし、リスクは計り知れないので、実践することは避けたほうがよいでしょう。

投資家のETHを保管するためのスマート・コントラクトには、予期せぬバグが発生することがあります。

またDAO(分散型自律組織)はハッカーの被害を受けることもあり、バリデータがEthereumによりペナルティ処分を受けることもあります。この場合投資家の資産に損害が及ぶリスクも避けられません。

今回紹介した戦略すべてが、こうしたリスクを含んでいます。投資をする場合は自己責任において、必ず十分なリスク管理を行うことをおすすめします。