取引所コインベースが急接近!デジタル世界の中心地を目指すUAE

デジタル世界の中心地を目指すUAE

CEO(最高経営責任者)のブライアン・アームストロング(Brian Armstrong)氏を含む、暗号資産(仮想通貨)取引所Coinbase(コインベース)の役員チームは、5月はじめに中東のUAE(アラブ首長国連邦)を訪れました。

その目的は、仮想通貨やWeb3にオープンなUAEを、Coinbaseの新たな拠点に加えることにあるようです。

※1ドル=135.0円で換算

UAEに歩み寄るCoinbase

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UAEはWeb3の中心地として急速に成長しつつあり、首都アブダビのHub71(テクノロジー・エコシステム)は、企業に融資やブロックチェーンへのアクセス・サービスなどを提供しており、ドバイには500を超えるスタートアップが拠点を構えています。

また中東とアフリカ、さらにインドをつなぐ仮想通貨経済圏の中心地でもあり、国民の11%以上が仮想通貨の保有者です。

2022年3月にはUAE首相のムハマンド・ビン・ラーシド・アール・マクトゥーム殿下が、将来的に同国を仮想通貨市場の中心地に位置付けるという構想を発表しました。

その可能性に注目したCoinbaseのCEOが今回UAEを訪れ、UAE首相、立法担当者、規制担当者などと協議し、さらにドバイで開催されるフィンテック・サミットにも参加する予定です。

Coinbaseはバミューダで規制ライセンスを取得し、Coinbase International Exchange(国際取引所)をローンチしたばかりで、今度はUAEのアブダビ・グローバルマーケット(ADGM)でも、同様のライセンスを取得すると見られています。

Coinbaseはドバイのバーチャル資産規制当局(VARA)とも協議を進めています。VARAは持続可能な経済と国境を越えた金融セキュリティの原則のもと、包括的な小売りフレームワークの構築を推進しており、その構想にCoinbaseが加わることで、10億人のユーザーが仮想通貨市場に参入する可能性があります。

仮想通貨市場におけるUAEのポテンシャル

UAEが注目される理由
UAEの人口の85%以上が海外国籍で、特にインド国籍者は30%に上ります。そのためUAEは2020年には約430億ドル(約5兆8,000億円)と、アメリカに次いで世界第二位の国際送金額を誇り、特にUAEからインドへの送金が最大のシェアを占めています。
UAEは世界第六位の国際的ウェルス・マネジメントの中心地であり、アブダビとドバイは共に、Bloomberg(ブルームバーグ)の金融センター・インデックス32にリストされています。
中東の湾岸協力理事会(GCC)の個人資産のうち70%以上が、UAEとサウジアラビアに集中しています。
UAE以外の個人投資家の資産およそ5,000億ドル(約67兆5,000億円)をUAEが保有しています。

仮想通貨の発展を促すUAEの規制

UAEの仮想通貨規制の前提条件
ビジネスに前向きであること
消費者を保護すること
「第四次産業の中心地」としてのUAEのリーダーシップを支持すること
マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)のガイドラインに従うこと

UAEでは3つの規制機関が、仮想通貨規制を発効もしくは発効準備を進めています。さらにUAEは、ブロックチェーンを基盤にしたテクノロジーの世界的なリーダーとして、この規制を活用することを目指しています。

UAEはWeb3エコシステムをリードし、投資先として魅力的な環境を整備しながら、仮想通貨市場において他地域に生じている空白地帯や、規制のギャップを積極的に解消することを狙っているようです。

一方Coinbaseの戦略には、シンガポール、ブラジル、カナダ、バミューダに続き、UAEにも拠点を設けることで、世界的な市場を構築する意図が見えます。各仮想通貨取引所の今後の動き次第では、アメリカに頼らない新たな経済圏が形成されるかもしれません。

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