コインベースが提供する分散型IDとは?より安全な個人情報管理へ
大手暗号資産(仮想通貨)取引所のCoinbase(コインベース)は、アメリカで公開会社となることを望んでいますが、最近の規制強化や米証券取引委員会(SEC)との確執などもあり、アメリカから国際市場へと戦略の転換を図っています。
その一環として、仮想通貨取引の安全性向上に向けた革新的な取り組みを進めています。その1つが分散型ID(DiD:decentralized ID)です。
※1ドル=131.2円で換算
DiDで個人情報の自己管理が可能に
DiDはまさに革新的な技術であり、ブロックチェーン技術を基盤にして、ユーザーが自分で個人情報を管理することを可能にし、ユーザーは一段とスムーズに、プライベートに、そして安全に情報へのアクセスや情報共有ができるようになります。
情報管理がアナログからオンラインにシフトして以来、ますます多くの個人情報が、第三者により集権的に収集され保管されています。その結果、情報のプライバシーと安全性に対する不安が高まり、ユーザーが自身の個人情報にアクセスする時でさえ、リスクを伴うようになりました。
しかしDiDにより、政府や巨大技術系企業のように、中央集権的な管理者を必要とせず、ユーザーは自由にそして安全に、自身の個人情報を利用できるようになります。
DiDの仕組みと使い方
ユーザーの個人情報はブロックチェーンと、自身のデジタル・ウォレットに保存・管理されます。国による出生証明や雇用主による勤務証明、大学の卒業証明のように、個人に関する各種証明は、信頼できるサードパーティーにより識別子と証明書が確認されます。
サードパーティーが情報提供を求めた場合、ユーザーはブロックチェーンとウォレットから証明書を提出する仕組みです。例えば家を借りる時、収入証明が必要になったとすると、銀行の預金残高のようなデータまで提示することなく、必要な情報だけを相手側に提供できます。
不要なデータを提示しないことで、DiDは個人のプライバシーを強化し、ハッキングなどのリスクを回避することができるのです。
DiDのユースケースは、銀行口座の開設や年齢証明など様々で、ユーザーは自身を証明するデータを常に持ち歩くことができます。新しい土地へ移住したり、銀行や病院を切り替える時も、すぐに個人情報を活用できるため、第三者機関に頼る面倒な手続が不要になるのです。
DiDで広がるデジタル社会の可能性
DiDは包括的で効率的な経済を創造するポテンシャルを秘めています。現在世界中でおよそ10億人が公的身分証明を持っていないため、医療や金融サービスを満足に利用できません。
しかしDiDが普及すれば、彼らも自分で個人情報を管理でき、必要な時に身分証明を提示することができます。ただしWeb3のエコシステムが成長するにつれ、DiDの開発者と政策立案者は、DiDとその他のテクノロジーの拡張的なポテンシャルを保証する必要があります。
さらにユーザーがこれらの技術により、自身のデータを快適にしかも責任を持って管理するためには、使いやすさと同時にユーザーに対する教育も必要です。
すでに世界各国の政府は、教育、医療、農業などを含めた各種サービスにアクセスするための、DiDを使った高速で安全なセキュリティー・チェックの構築を始めています。
また、個人や機関に目に見える利益を提供するための、個人情報管理に関わる多くの革新的なプロジェクトも動き出しています。
今後は日常的にDiDを使える環境作りを目指し、明確な規制の構築が求められるでしょう。仮想通貨とブロックチェーンの発展には、DiDの普及が欠かせません。Coinbaseが現在DiDの導入を目指す他、Microsoft(マイクロソフト)は独自のDiDシステムの構築を進めています。
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