【FF7リバース】ネタバレありレビュー

ネタバレありレビュー

FF7リバース(ファイナルファンタジー7リバース)のレビューを掲載しています。主にフィールド、戦闘、シナリオについての評価を記載。

※当記事では、FF7リバースのエンディングのネタバレを含む記述があります。

総合評価
9.0 / 10 点
ストーリー 戦闘 グラフィック
★★★★★ ★★★★★ ★★★★★
操作性 音楽 ボリューム
★★★★★ ★★★★★ ★★★★★

往年の名作を現代に蘇らせた大作RPG

FF7R

FF7リバースは、言わずと知れたJRPGの名作「FINAL FANTASYVII」のリメイク、その第2作目にあたる作品だ。

原作のストーリーを最新のグラフィックで再現しつつ、新たなコンテンツ、新たな設定も加えられており、ゲームにおけるリメイク作品としては非常に大掛かりなものとなっている。

終盤のストーリー展開は賛否が分かれそうなところではあるが、「FF7のリメイク」としてユーザーが期待していたであろう要件は基本的にしっかり達成できている。

ワールドマップが廃止されて以降、スケール感の縮小が指摘されるFFシリーズにおいて、本作は久しぶりに大作としてのFINAL FANTASYを遊んでいるという感覚を味わえるタイトルだった。

様々な探索要素がある広大なフィールド

マップ

本作のフィールドは、一定の広さを持ったフィールドが6エリア、それに加えて小規模なフィールドが2つといった構造になっている。

大フィールドにはそれぞれ原作にあったダンジョンも存在し、そのどれもがしっかり作り込まれている。サブクエストでのみ訪れる専用ダンジョンまで用意されており、ボリュームは前作とは比較にならないほど増している。

各フィールドはロードを挟む移動手段を介して行き来することになるが、ダンジョンを通して実質地続きになっている部分もあり、終盤では内海の移動手段が追加されて、大部分がひとつの広大フィールドとなる。

正確にはオープンワールドではないが、手触りはオープンワールドとほぼ変わりなく、FF7の広大な世界を表現するというスクウェア・エニックスの挑戦は見事に成功していると言ってよさそうだ。

魅力的な報酬

報酬

探索要素はいずれもパーティ強化に帰結する仕組みとなっている。特に武器とマテリアが報酬として魅力を持っているため、探索に高いモチベーションを持てる点はこの手のゲームとして優れている作りだと感じた。

腹筋バトル

また、それぞれの探索要素にはミニゲーム的なものも用意されており、ちょっとした暗記ゲーから本格的な他ジャンルのゲームを模したものまであり、プレイヤーを飽きさせない工夫が施されている。

豊富なロケーション

コスモキャニオン

ゴンガガ

各フィールドは気候・地形・文化の面で差別化されており、プレイヤーを飽きさせない個性的なロケーションが広がっている。

特にグラスランドエリアの豊かな自然と、コスモキャニオンの雄大な岩山は圧巻。各地のフィールドBGM及びバトルBGMも特色があり、冒険を彩ってくれる。

個性的な移動手段

IMG_0238

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各フィールドでは、主にチョコボがプレイヤーの移動手段となる。

チョコボにはそれぞれ固有の能力があり、崖を登れる、空を滑空できる、水上をジェット噴射で移動できる、といった能力を駆使しながら、フィールド固有のギミックとプレイヤーは向き合っていく。

チョコボの他にも、砂漠を走破するバギーや、内海を自由に移動できるタイニーブロンコが登場する。また、イベント時限定ではあるが、次回作でのハイウインド実装に向けた試運転と思われる飛行要素もあった。

これらの移動要素は長時間のゲームプレイにおいて適切な「味変」の効果をもたらしてくれているが、移動手段を別のエリアに持ち越す事はできないため、険しい地形を踏破していく原作の自由度には劣ってしまっている。

また、チョコボの能力の多くは操作性が悪く、拡張性も乏しい。終盤で使用できる海チョコボは非常に快適だったので、次回作では海チョコボを他のエリアでも乗れることを期待したい。

快適なファストトラベル

各地へのファストトラベルは高速で、数秒のロードを挟むがストレスは全くと言っていいほど無い。ファストトラベルできるポイントも非常に多く、討伐対象のモンスターに直接飛んでいけるため、広大なフィールドを採用したゲームにありがちな「プレイ時間の大部分が移動だけに費やされる」といった現象は起こらない設計だ。

作り込まれたサブクエスト

ジョニーズ1

各地で受注できるサブクエストは、主にNPCの依頼を通してパーティメンバー個々の掘り下げをしていく内容となっている。

いずれもシナリオが用意されており、単に指定したモンスターを倒す、指定した素材を集めるといった類のものではなく、中には専用のダンジョンやミニゲームまで用意されているクエストもある。

総数は膨大というわけではないが、各サブクエストが長すぎず短すぎずの適切なボリュームを持っている。報酬のためにただ消化するのではなく、シナリオとキャラクターの反応を楽しみながら遊べる。理想的なサブクエストの形をとっている。

中盤の複雑なマップ構造がややストレス

序盤は目的地に対してほぼ直線的なルートで向かっていけるが、中盤のフィールドでは迂回、あるいはギミックを利用しないと目的地に辿り着けない構造になっており、移動ルートを考える事が遊びの一つとなっている。

ルートに頭を使わせる事それ自体はフィールド探索に楽しさを与える試みとして正しいとは思うが、本作ではチョコボの使い勝手の悪さとフィールドギミックの視認性の問題から、探索自体にストレスを感じる場面もあった。

序盤のグラスランドエリアと終盤のニブルエリアの探索は快適だったので、次回作では他のフィールドにも探索の快適さが欲しいところだ。

より戦略的かつアクション性が増したバトル

FF7リバースでは、1作目同様にキャラを瞬時に切り替えながら進行するアクションとコマンドが融合したバトルを楽しめる。

ブレイクゲージを削り、ブレイク状態にして一気に攻めるという基本的な流れも1作目同様で、バトルシステムはほぼ1作目と同じ設計を継承している。

前作ではATB消費行動かキャラの切り替えで対応するしかなかったシチュエーションに対して、連携アクションでサクッと対応するか魔法やキャラの切り替えでしっかり対応するかの判断を瞬時に求められるため、アクション的な思考とコマンド的な思考の両面でプレイヤースキルを立ち回りに反映できるよう進化を遂げている。

キャラの苦手を克服する連携アクション

連携アクション拡大するクラウドとレッドXIIIの連携

基本的にいつでもノーコストで使用できる「連携アクション」の多くは、起点となるキャラの苦手を仲間との連携で克服できる性能を備えている。

例えば、空中戦への始動を苦手とするティファの場合、クラウドの剣に乗って飛ばしてもらうことで空中コンボへの起点を作れるといった具合だ。連携アクションでは操作キャラと味方の両方のATBが溜まり、前作での課題だった「ATBが溜まるまでの退屈な時間」を大幅に短縮してくれる。

難易度は若干高め

筆者はノーマルで進めていたが、シナリオ上のボスの強さがある程度探索をしている前提となっているため、シナリオ進行を優先すると苦戦する場面が少なくなかった。

特に終盤の始まりあたりからは戦闘システムとボスの挙動への理解が求められるケースが多々あり、初見では全滅する事もしばしば。

また、一部サブクエストのバトルコンテンツは、突発的に難易度が上がったかと思えばその後また平常の難易度に戻るといった事もあり、難易度の設定にはややムラがあるように感じた。

パーティ固定のシチュエーションが多い

フィールド探索では基本的に自由に編成が可能だが、シナリオ進行中の各ダンジョンでは多くの場合ストーリー上のアクシデント等でパーティ固定となる。

筆者の場合、キャラは満遍なく育てて活躍機会があるのなら幅広く使っていきたいタイプなので、この仕様はあまり気にならなかったが、特定のキャラに絞ってゲームを進めたいタイプのプレイヤーなら煩わしく感じるかも知れない。

また、みやぶるのコンプリートを目指すのであれば、キャラが切り替わるたびにマテリアの切り替えが必要になるため、キャラ単位でマテリアを一括で入れ替える機能が無い点は気になった。

豊富なミニゲーム

レースに参加して1位を目指す

原作のFF7は豊富なミニゲームが用意されている点が特徴だったが、本作は原作以上に多種多様なミニゲームが登場する。

本格的な遊びとして作られているカードゲーム「クイーンズブラッド」を始めとして、チョコボレースやRTS風のものから、ニワトリを缶で誘導するというシュールなものまで非常に多くのミニゲームを遊べる。

ミニゲームにはそれぞれハイスコアでの景品として装備やマテリアが用意されており、ついつい本筋を忘れてミニゲームに夢中になってしまう事が多々あった。

この豊富なミニゲームによる「ごった煮」感は原作プレイ時に通ずるものがあり、好感が持てた。

一部難易度が設定には疑問が残る

ミニゲームの多くは多少の頑張りで景品を全取得できる適切な難易度だが、一部は操作性の悪さを感じたほか、不可解なほど難易度の上昇が見られた点は気になった。

ミニゲーム以外でも、バトルシミュレーターの極一部のコースは意図した難易度なのか疑ってしまうほどのものがあり、メインシナリオから外れた部分の難易度設定は不十分だったように思う。

魅力を増したキャラクター達

バレット

本作では、パーティキャラ個々の深掘りだけでなく、関係性もしっかり描かれており、原作プレイ済であればさらにキャラクター達を好きになる描写が数多く盛り込まれている。

特にバレットは過去の描写が非常に秀逸で、ダインとのやり取りは映像表現の進化と声優の演技も相まって、思わず涙を流してしまったほどだ。フォトリアル寄りのグラフィックでの男臭い悲劇的な描写は海外のゲームでよく見られるが、本作のグラフィックとも親和性があり、コレルプリズンでの結末は本作の中でも特に好きなエピソードとなった。

ルーファウス神羅

また、パーティキャラ以外ではルーファウスの人間的な部分と彼が抱える苦労の描写も増えており、ルーファウスが出てくるだけでシナリオがぐっと引き締まるほど、魅力的なキャラクターに昇華されていた。

ストーリー

原作プレイ済でも先が気になる展開

ザックス

本作のストーリーは、原作を踏襲したシナリオに加え、ザックスが生き残った世界が平行する形で時折挿入される、二本の軸で展開していく。

原作部分には微妙な差違があり、例えばゲーム開始から早々にティファがクラウドの記憶について疑問をぶつける等、その後の展開がどう変化するか気になる構成になっている。

原作から変更された設定

追加された設定ではなく、原作から明確に変更された設定もいくつかあった。

ギ族はライフストリームに還れない種族という設定が加えられ、その結果黒マテリアを生み出したというアレンジが施されている。

また、ウェポンは星の危機に現れる強大なモンスターという設定は残しつつ、ヒュージマテリアがモンスター化した存在という設定に変わっている。

これらの改変は原作において個々に独立、あるいは浮いていた要素を上手く繋げて、世界設定に馴染ませる事に成功している。

原作未プレイでは理解できない可能性が高い

原作+リメイクシリーズのオリジナル要素という二本の軸で物語が進行する上に、本作ではクラウドの正体も白マテリアの意味も明かされないままエンディングを迎える。そのため、原作未プレイの場合、中盤以降は物語に置いていかれる可能性が高いかもしれない。

終盤の展開は賛否がわかれるか

本作のシナリオは、古代種の神殿までは大部分が原作に沿っっており、キャラクターも世界設定も地に足がついた描かれ方がされている。が、古代種の神殿が終わった後からはリメイクシリーズのシナリオに軸足が移り始め、かなり性急な展開となる。その過程でボーンビレッジ~忘らるる都のダンジョン部分がプレイアブルでなくなってしまったのは残念と言うしか無い。

また、終盤の物語の描写方法は抽象的な表現が増え、考察を前提としたやや難解なものとなっている。

シナリオ考察のためのヒントとして「あえて」そうしたものと思われるが、忘らるる都で起こる出来事で印象的だった原作の台詞とシーンがカットされている部分もあり、正直この点に関しては名シーンの再現を望んでいたプレイヤーにとって賛否が分かれる内容だったように思う。

総評

分作かつ最低でも原作の履修がほぼ必須という物語構造から、人を選ぶシナリオではあるものの、ゲーム部分は大作・名作と呼んで差し支えないクオリティに仕上がっているのがFF7リバースというゲームだ。特にこのレベルのパーティバトルと広大なフィールドを両立させた作品は非常に貴重で、飛空艇が登場する次回作には大いに期待できる。

ワールドマップを捨てて以降のFINAL FANTASYシリーズは、RPGとしてのフィールド在り方を模索して長らく暗い袋小路に入ってしまったようなところがあったが、FF7リバースでようやく正解の方向性を見つけたのではないだろうか。

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